2016/07/19
防災・危機管理ニュース
「東日本大震災では、エネルギーの重要性を改めて認識した。燃料が本当に必要な被災者や復旧に当たる業者に届けることができるのは、私たちのような末端の小口燃料配送業者。中小企業でできることは限られているが、全国に同じような業者とのネットワークを持つことで、来るべき災害に備えることができるのではないかと考えた」と話すのは、平野石油株式会社取締役の平野賢一郎氏。
同社は昭和8(1933)年に東京にて石油販売業として創業。当初はガソリンスタンドを都内で経営する一般的な石油小売業だったが、20年ほど前からスタンド事業は全て閉鎖し、工事現場の重機や高層ビルの発電機などに石油を運ぶ、いわゆる「パトロール給油」に特化した。
平野氏は「石油小売業を営む中、私たちにできる石油の付加価値とは何だろうと考えた。その結果、山奥の工事現場や高層ビルの上など、どこへでも石油をお届けするという「移動ガソリンスタンド」の道を選んだ」と話す。
東日本大震災をきっかけに、広域の燃料会社ネットワークを構築
東日本大震災は冬場に発生したため、被災者が暖を取るための灯油や、備蓄の配給を受けるための車のガソリンなど、燃料は企業だけでなく被災者にとっても生命線となった。実際に、ガソリンスタンドに並ぶ最中に燃料節約のため車中で七輪を焚き、二酸化炭素中毒で亡くなった被災者もいた。
平野氏は「東日本大震災を経験し、国も経産省、資源エネルギー庁などを中心に災害時の燃料問題に取り組んでいるが、災害時、広域的に末端の被災者まで燃料を届ける体制ができているのかというと疑問が残る」と警鐘を鳴らす。
同社は現在、3.11の教訓から全国の同業者をネットワークで繋ぎ、災害時には365日24時間の燃料配送体制を整えている。同業者のネットワークは現在140社。今回の熊本地震では、広島と福岡から5社が同社の要請を受けて、同社ローリーと共に現場に駆け付けた。
「実はこういった小口の燃料配達業者はホームページすら持っていないところも多い。私たちはそのような会社でも、どの会社がどの車を持っていて、どのくらいのドライバーを抱えているかを一元的に把握している。
また、各社がそれぞれ支払い条件や価格を依頼者と交渉していたらそれだけで貴重な時間をロスしてしまうが、私たちはそれらすべてを取りまとめ、燃料、タンクローリーの手配から請求書の発行まで一気通貫して取り扱うことができる。
燃料を必要とする会社が地元や周辺各県の個別の燃料会社の備蓄、配送能力を評価し、包括的なサポート体制を構築するにはハードルが高いと考えており、災害時には、被災地と燃料を配送可能な中小燃料会社との、いわばハブの役割を担うことができたと考えている」(同氏)。
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