2016/07/25
誌面情報 vol56
2度の被災でコールセンター停止
そんな巨大施設が、震度7を記録した2度の地震により被災した。4月14日の震度7(M6.5)の前震では、敷地内の地割れ、室内のガラス割れ、コンテナの転倒などの被害が出た。大きな被害ではなかったが、当時、業務を終え帰宅途中だった再春館製薬所執行役員経営企画室長の大庭博人氏は「前震は大した揺れではなかったというようなことが言われますが、ここ(震源地)は十分以上に揺れています」と振り返る。
コールセンター業務は午後10時までやっているため、まだ数十人の社員が働いていた。現場にいた管理職の判断でコールセンター業務は打ち切り、その日は全社員を帰宅させた。
午後10時7分には震度6弱、10時38分には震度5弱、11時43分には震度4、そして翌日午前0時3分には再び震度6強、1時53分には震度5弱と大きな余震が繰り返された。
「誰も、ほとんど寝ることができなかったのではないでしょうか」と大庭氏は話す。
15日の午前中の段階では全社員の安否まで把握ができなかったが、多くの社員が出社した。
コールセンター業務は朝から再開させたが、余震が多いことから昼の12時で閉鎖し、自動応答システムに切り替えた。無事に1日目の作業を終え、わずかながら落ち着きを取り戻そうとしたさなか、翌16日の午前1時25分、前震をさらに上回る揺れが益城町を襲った。
大庭氏は「熊本中を探しても飛び起きなかった人はいないでしょう」と揺れの大きさを表現する。しかも停電で真っ暗な中で恐怖は増幅したという。
「皆生きることだけで必死だったと思います。家に居られない人は何とか避難所まで行ったでしょうし、避難所まで行けず車の中で過ごした方も多かったことでしょう」(大庭氏)
夜が明けて、会社に来たのは社長と10人程度の社員だった。土曜日で休日ではあったが、社長、経営幹部に加え、会社のことが心配という人や、家にいることができない人もいた。
前日、片付けを行っていた本社コールセンターは、再び机上から物が落ち散乱。天井のフックが外れ落下寸前の状態になっていた。さらに、システムの要であるサーバーは免振台が備え付けられていたにもかかわらず免震構造部分が降り切れて倒壊。奇跡的にシステム停止には至らなかったが簡単に中に立ち入れる状況にはなかった。
社員の安全を最優先に考え、西川社長の判断で、この日から営業を当面休止することにした。
幸いだったのは、ライフラインが生きていたことだ。周辺地域は、電気と、特に水が長期間大きな影響を受けたが、同社は井戸水を使い、コールセンター業務を維持するため数日分の電力を賄える非常用発電機を備えていたことから施設機能は維持することができた。
誌面情報 vol56の他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/17
-
-
-
-
-
今年の夏は大規模停電のリスク大?
今年の夏、東京電力管内を中心に電力不足が懸念されています。需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が1パーセントを切る見通しで、もしそこで突発的な発電所の事故や故障が起きれば予備率はさらに低下、マイナスに陥りかねません。大規模停電のリスクについて、東京電機大学名誉教授の加藤政一氏に聞きました。
2026/02/12
-
-
-
海外危機管理マニュアルの作成が急務
海外に社員を送り出す企業にとって、緊急事態が発生した際の対応体制は必須。どんなに現地に慣れたベテランでも、自分の身を守り切れない事態は起き得ます。ましてや現在は安全保障上の国家対立が深まり、東アジアの緊張も高まっている時代。海外危機管理サービスを手がける安全サポートの有坂錬成代表取締役に、海外進出企業が取り組むべき対策を聞きました。
2026/02/05








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方