借りた場合、3年間は返済の必要がなく、その間の利子もつきません

大きな災害(都道府県内で災害救助法が適用された市町村が1以上ある災害)により、世帯主が負傷したり、家財や住宅が被害を受けたりした場合には、自治体による「災害援護資金」の貸付制度を使うことができます。「災害弔慰金法」がその根拠です。

災害援護資金の貸付額は最大で350万円であり、被害に応じて限度額が定まっています。

写真を拡大 内閣府(防災担当)のウェブサイトより (http://www.bousai.go.jp/taisaku/choui/pdf/siryo1-2.pdf

また、制度を利用する場合には、所得制限もあります。

写真を拡大 内閣府(防災担当)のウェブサイトより (http://www.bousai.go.jp/taisaku/choui/pdf/siryo1-2.pdf

災害援護資金の利率は年3パーセント以内で、市町村が条例で定めます。返済方法は、年払い、半年払い、月払いがあります。借り入れから3年間(特別の場合は5年間)は「据置期間」となり、返済をする必要がなく、その間の利子もつきません。

返済期限は据置期間を含んで10年です。つまり最初の3年間は何も支払わなくてよいことになりますが、その後は、残った7年のうちに、全額を分割支払いしていくことになります。

かつては連帯保証人が必要でしたが、2019年の政令改正により必須ではなくなりました。連帯保証人を立てる必要があるかどうかは、市町村の条例次第ということになります。

災害援護資金は、災害弔慰金(災害弔慰金、遺族と行方不明者家族に最大500万円)や災害障害見舞金(重い障害を負った場合の災害障害見舞金制度)のように、返済不要の給付金ではなく、あくまで「借金」です。返済の目途などについては慎重に判断したうえで、制度の利用を検討しなければなりません。

最も注意しておきたいのは、返済が難しくなり、定められた期限に支払いができないような場合です。この場合は、年5パーセントの延滞利息が発生してしまいます(2019年4月改訂。それまでは延滞利率は10.75パーセントでした)。支払いができない事情がある場合には、事前に自治体に対して、適切な手続きをとっておく必要があります。必ず弁護士などへ相談をして、決して放置することがないようにしてください。

なお、東日本大震災では、利率や返済期限の特例措置があり、条件が大幅に緩和されています。もし大災害があったら、どのような貸付条件となっているのかを、窓口や専門家の相談で確認するようにしてください。

(了)