2016/09/29
誌面情報 vol56
まずはモニタリングと事実確認
ではどう対策したらいいのでしょうか。早期に風評をモニタリングできる仕組みをつくる。そして、ネット風評を見つけたら事実確認が大切です。単なる風評なのか事実にもとづいた風評なのか、情報源を把握することが大事になってきます。事実を把握した上で、静観するという方法もあります。積極対応するというやり方もありますが、まずは静観してみる。ネット上でモニタリングをしながら、次にどのように展開するのか、マスメディアに取り上げられる可能性があるのかを確認する。積極的に対応したほうがいいなら、情報開示の先手を打って意思表示することもあるでしょう。そして削除要求の検討、あるいは法的措置を取るということも考えられます。予見では社会的にインパクトを与えるメディアに取り上げられるかどうかがポイントになってきます。
風評被害に強い会社になるために、ソーシャルメディア発の風評の動きを早期に察知できる体制が重要です。モニタリングをしながら、どのようなネットリスクが自社にはありえるのかを洗い出し、マニュアル化する、そして実際にシミュレーショントレーニングを実施する。このサイクルを回すと、平時からレピュテーションのマネジメントができていくと思います。
企業の魅力度が風評に影響する
阪井 完二氏
企業の魅力度が風評に与える影響について話します。総務省のデータを見るとLINEをはじめ様々なソーシャルメディア、ソーシャルネットワーキングサービスのプラットフォームが非常に高い率で利用されています。最近よく見るのが、ちょっときれいな景色や美味しい料理をすぐに写真に撮る光景です。この状況を我々は「1 億総ジャーナリスト社会」と呼んでいます。
今年一番伸びているプラットフォームがInstagramです。急上昇しています。もはやノンワードの写真だけでコミュニケーションする時代になってきています。Facebook、Twitterはもちろんです。あらゆる人がカメラやスマホを片手に事象を切り取って評価をしていく時代です。こういう時代に企業はどのような対応をしていけばいいのか。
2014 年2月の大雪で閉ざされた中央自動車道、談合坂サービスエリアに居合わせたヤマザキパンがパンを配給している。素晴らしい神対応だったので、たまたま居合わせた人たちが写真を撮ってSNSにあげて、テレビのニュースで流れて評価されました。まさに1億総ジャーナリスト時代です。
一方、こういう話も出てきます。まるか食品のぺヤングにゴキブリ混入が発覚した事件では、会社の最初の行動は早かった。大学生がTwitterにあげると、翌朝には謝りに行っている。すごく早い対応だと思います。けれども会ったときの話で大学生がかちんときた。昔であれば直接会って「穏便にすませましょう」という対応は正解だったと思います。しかし、今の時代、Twitterにいきなり報告する相手への対応としてはちょっと違ったのかもしれない。昔と今では、情報環境が違うことを意識していただいて行動しなくてはいけない。
誌面情報 vol56の他の記事
- 組織の風評被害対策アンケート
- 企業の魅力度が風評に影響する
- 不祥事対応における風評発生メカニズム
- 被害のパターンを見極めることが大切
- 風評マネジメントで観光を立て直す
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方