2019/10/04
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
命を預かる仕事の震災対応
東日本大震災が起こった2011年3月11日14時46分、内陸部にある岩手県北上市では震度5強が観測されました。北上市を拠点にガスの製造、輸送、販売、設備工事、保守管理まで総合的にサポートするガスサプライヤーの北良株式会社も被災します。
緊急遮断弁を稼働させ、設備の安全確保を実施した北良株式会社には、早急にやらなければならないことがありました。一般にガス会社というと、家庭用や産業用のガスをまずイメージしますが、同社では医療用の酸素ボンベを取り扱っており、医療機関だけでなく、数百名にも及ぶ在宅医療の患者さん宅に医療機器を提供しているのです。地震で停電すると、在宅で使用している医療機器が停止してしまいますから、停電=患者さんの命に関わります。また、津波から早急に避難する場合、酸素ボンベを持って逃げられません。さらに、医療機関が被災して酸素ボンベが必要になるケースもでてきます。患者さんの命を守るため、一刻も早く必要機材を届ける、それが同社が早急に対応しなければならないことでした。
そこで、同社では、酸素ボンベが必要な在宅患者さんに向けて、地元放送局にアナウンスを依頼するとともに、患者さんが運び込まれる可能性のある基幹病院へ酸素ボンベの追加設置を実施しました。
その際、クルマを利用しますが、ご存知のように、被災地ではガソリン不足が進行していきます。当時のガソリン不足が起こった原因については、リスク対策.comのこちらの記事に詳しいです。
■車両燃料の不足はなぜ起きた
https://www.risktaisaku.com/articles/-/575?page=5
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方