命を預かる仕事の震災対応

東日本大震災が起こった2011年3月11日14時46分、内陸部にある岩手県北上市では震度5強が観測されました。北上市を拠点にガスの製造、輸送、販売、設備工事、保守管理まで総合的にサポートするガスサプライヤーの北良株式会社も被災します。

緊急遮断弁を稼働させ、設備の安全確保を実施した北良株式会社には、早急にやらなければならないことがありました。一般にガス会社というと、家庭用や産業用のガスをまずイメージしますが、同社では医療用の酸素ボンベを取り扱っており、医療機関だけでなく、数百名にも及ぶ在宅医療の患者さん宅に医療機器を提供しているのです。地震で停電すると、在宅で使用している医療機器が停止してしまいますから、停電=患者さんの命に関わります。また、津波から早急に避難する場合、酸素ボンベを持って逃げられません。さらに、医療機関が被災して酸素ボンベが必要になるケースもでてきます。患者さんの命を守るため、一刻も早く必要機材を届ける、それが同社が早急に対応しなければならないことでした。

そこで、同社では、酸素ボンベが必要な在宅患者さんに向けて、地元放送局にアナウンスを依頼するとともに、患者さんが運び込まれる可能性のある基幹病院へ酸素ボンベの追加設置を実施しました。

その際、クルマを利用しますが、ご存知のように、被災地ではガソリン不足が進行していきます。当時のガソリン不足が起こった原因については、リスク対策.comのこちらの記事に詳しいです。

車両燃料の不足はなぜ起きた
https://www.risktaisaku.com/articles/-/575?page=5