2019/10/08
医師が語る感染症への知識のワクチン
2.予防
百日ぜきの予防は、まずワクチン接種の徹底です。わが国に百日ぜきワクチンが導入されたのは1950年でありこの時は単独のワクチンでありました。その後1958年からはジフテリアとの2種混合ワクチン、1972年からは破傷風を含めた3種混合ワクチンとして接種されるようになりました。しかし、ワクチンによる脳炎の発症がみられたため一時休止された時期があり、患者数が増加しましたが、その後ワクチンの改良が進み、接種率は再び向上しました。さらに接種年齢が2歳から3カ月に引き下げられました。2012年からはポリオも入れた4種混合のワクチンが導入されています。現在、百日ぜきその物のワクチン接種回数は、合計4回となっています。
ワクチンの効果は、4〜12年で漸減すると考えられており、罹患者の半数以上が4回のワクチン接種歴があるといわれています。そのため抗原量を減量した3種混合ワクチン接種を成人期に行うことも海外では行われています。日本でも就学前5〜7歳時にこのワクチンの接種することを推奨していますが、定期接種にはなっていません。
3.感染した場合の治療・対策
感染した場合の治療としては、マクロライド系の抗菌薬を5日間服用することが推奨されています。ただし咳嗽(がいそう、せきのこと)が始まって3週間以上経過していると薬の効果がないこともあります。学校保健安全法では特有のせきが消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで出席停止とされています。ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りでありません。
家族内など濃厚接触者への感染防止対策として、抗菌薬の予防投与という方法がありますが、日本では保険適応はなく、予防投与に関する特別な指針はありません。
乳児の百日ぜき重症例の治療としては、ピペラシリンなどのペニシリン系あるいはセファロスポリンなどの抗菌薬を使用することもあります。また毒素の中和目的にγグロブリン大量投与療法を行うこともあります。
2018年1月1日から届け出方法が変わり、適切な検査診断で百日ぜきと診断された症例は年齢を問わず全数把握疾患として報告することになりました。より正確なサーベイランスにより、乳児の罹患者の感染源が周囲の家族であることも明確になり、今後の対策として予防接種の変更も含め対策がとられていくことになると考えられます。
(了)
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