2019/10/31
本気で実践する災害食
停電、ガス、水道停止の「自宅での模擬訓練」
ガス、水道停止の模擬訓練
次に、ガス、水道を使わないという設定の模擬訓練を以下行う。停電はすでに解消したので電気は使用可という設定。
実施日:10月27日 午前11時 室温23度
実施場所:自宅台所
実施目的:昼食の料理
買い置きの食パンでサンドイッチを作る。卵をゆでようとするが水とガスがない。仕方なく戸棚の奥からホットプレートを出し、溶き卵をほろほろ卵にする。冷蔵庫からキュウリを出し、洗おうとするが水道が出ない。幅広に切ってホットプレートでざっと焼く。トマトはお手拭きで拭う。ともにざっと切る。パンはホットプレートで焼く。ホットプレート“さまさま”である。出来上がり! 紙皿に乗せる。これでは野菜が足りないので、野菜ジュース缶を缶ごと飲む。
以上のことから、水道が出ないことを予想して、野菜類は買ってきて冷蔵庫に入れる前に洗ってラップに包んでおくと困らないと気付く。卵も暇なときにゆでておくと使い勝手が良い。お茶などの飲み物類も一昔前のように手作りにして冷やしておくとよいことが分かる。ペットボトルを買うのは環境汚染の原因になるので、備蓄品以外は手作りでしのぐとよい。ガスと水道が出なくても停電より困らないことを実感したお昼時であった。
パックご飯、冷凍ピラフ、冷凍炒めご飯、冷凍餃子、冷凍シュウマイ、アルファ化米などは、電子レンジを使うと短時間でご飯の用意ができる。電子レンジが使えないときはホットプレートを利用する。両器具は焼く、煮る、炒める、蒸すなど広範囲の料理が可能で便利。
トイレで困る
トイレに行く際、水道が出ないので困った。午前2回、午後2回、夕方2回、就寝前1回、朝までに1日計8回トイレを使用した。全て簡易トイレ(災害用備蓄品)をトイレの内枠にセットして使う。ビニール袋を広げると中に凝固剤、殺菌剤、芳香剤が入っていた。3回に1回取り替え3袋使用した。在庫が減ったのでトイレ内に在庫状況を書いて貼っておくとよいことに気付いた。
なるべくトイレットペーパーを少なめに使うようにした。汚い話だが、使用済みのトイレットペーパーは小さめで使用済みの買い物袋を再利用し、使用後、袋の口をきつく縛る方法で別処理した方がよいことが分かる。
トイレの後の手洗いはウエットティッシュで拭き、その後アルコールで丁寧に拭いておく。
風呂はどうする?
一番困るのは風呂だ。これはガス使用の場合は使用不可能だが、水がないので、我慢するしかない。しかし、どうしても汗をかいて体がべたつくときは、製氷室の溶けた水を利用してタオルをぬらし体を拭く。設定では、電気が回復しているので、湯沸かしポットで湯を沸かし洗面器に入れてタオルを浸しよく絞って体を拭く。乳児や幼児、病人には適している。
風呂は熱源と水道の両方が使えないので困る。大型の風呂は大いに困る。なるべく家族風呂でなく1人用の風呂が災害時にはありがたい。水を大量に消費する風呂は家庭用には好ましくない。
模擬訓練を通じて気付いたこと
以上、2日間を犠牲にして1日目は「停電の模擬訓練」、2日目は「ガス、水道停止時の模擬訓練」を試みました。普段想像した以上に厄介で、苦しいものでした。
災害時には停電、ガス、水道停止の3拍子が同時に起こることが多いです。災害時に初体験すると、慌てたり、想定外だと愚痴をこぼしたりしがちなので、余裕のある時に各自・家族ぐるみで模擬訓練に挑戦してみてはいかがでしょうか。貴重な訓練になること間違いなしです。
こうした訓練は、企業、病院などいろいろの職域で実際にやってみると思わぬ気付きがあり、本番で困らないのではないかと思います。
(了)
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