鳥インフルエンザウイルスが新型に変わるのか?

鳥インフルエンザウイルスを含む全てのインフルエンザウイルスは、感染が広がれば広がるほど、つまりより多くの数のインフルエンザウイルスが生産されればされるほど、変異したウイルスの生じる可能性は高まります。そのような変異には、鳥インフルエンザウイルスも(人あるいは鳥類での)感染を続ける間に、人に対する強い感染力と病原性を獲得した人インフルエンザウイルスに変異するという、宿主域の変化も含む変異が生ずる可能性を考える研究者も少なくありません。すなわち、鳥インフルエンザウイルスが人インフルエンザウイルスに直接変化するという可能性です。実際に、この変異を前提に、ベトナムで人から分離されたH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスを抗原とする、人用のウイルス全粒子が抗原として含まれる不活化ワクチンが、厚労省の指導により国内で製造されたことがありました。

筆者たちは、この可能性は低いと考えています。すなわち、これまで出現した「新型インフルエンザウイルス」のように、次に出現する「新型インフルエンザウイルス」も、現在人で感染を続けているウイルスと鳥インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合体であろう、その新しい性状を獲得した「新型インフルエンザウイルス」は、ある特定の動物(豚が候補動物)の呼吸器粘膜で作られることによって出現する可能性がより高いと考えています。その理由については次回説明します。

(了)