2019/11/21
昆正和のBCP研究室
■RTOはビジネス・インパクト分析から導く
前掲の「(1)中核事業に関わる取引先やサプライチェーンの要請」について、BCP策定運用指針の続きを解説しよう。中核事業はBCPにおいて最優先で維持・継続しなければならない事業であるから、必然的にどのような利害関係者(顧客や取引先、サプライチェーンを構成する企業など)が関わっているかが見えてくる。当社が被災して製品やサービスの供給が途絶えたとき、いつまで利害関係者たちが製品・サービスの供給再開を待ってくれるだろうか。遅きに失すれば信用を失い、顧客離れが生じて下手をすると廃業に追い込まれる。
そうした最悪の事態に至らないために早めに製品やサービスの供給を再開できるように中核事業の復旧期限(いわば安全弁)を設けておこうという考え方、それがRTOである。これは自社の一存では決められないから、取引先の経営者や幹部従業員へのヒアリングを通して把握・調整するとよいだろう。
次に「(2)あなたの会社の財務状況にもとづく時間」について。災害で事業が停止するということは、売上ゼロ、復旧に要する諸々のお金が湯水のように出ていくということだ。遅かれ早かれ資金の枯渇に直面するのは目に見えているから、自社の資金が耐えられる限界の期間を前もって見積もっておく必要がある。それはいつまでか。
このようにして以上の2点を勘案しながら、目標復旧時間を設定するのである。文字だけで書くとややこしいが、次のように時系列に検討していくと目安となる期限が直感的に見えてくる。
・中核事業が1日、3日、1カ月、3カ月止まると、(1)(2)についてどんな影響が出るか?
・最も深刻な影響が出る前に事業を再開するとしたら、いつの時点が望ましいか?(←これがRTO)
ちなみにこれはビジネス・インパクト分析と呼ばれる方法を簡便にしたもので、基本的な考え方は欧米でも日本でも変わらない。ただし以下で述べる点を除いては。
昆正和のBCP研究室の他の記事
おすすめ記事
- 
            
              
              中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/04
 - 
            
              
               - 
            
              
               - 
            
              
               - 
            
              
               - 
            
              
               - 
            
              
               - 
            
              
              月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】
リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。
2025/10/24
 - 
            
              
               - 
            
              
              「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
 
    






          
          
          
          
          
          
          
          
          
          
            
            
            
            
            
            
            
            
            
            
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方