第18回:目標復旧時間の意義と導き方
深刻な影響が出る前に事業を再開するために
    BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
    昆 正和
      
      
  
  
    昆 正和
    企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■目標復旧時間とは何か
BCPでは、どのガイドラインにも「目標復旧時間」を考慮すべきであることが説かれている。ガイドラインに忠実なBCPを作ろうとすれば、「目標復旧時間を決めるにはどうするか?」といった議論は避けては通れない。
中小企業庁が定めた中小企業BCP策定運用指針 第2版によれば、「目標復旧時間」とは「中核事業が復旧するまでの目標時間のこと」と簡潔に書かれている。少し補足すると、災害によって会社の業務が混乱・停止したとき、「遅くともこの時間内に中核事業(=一連の重要業務の活動)を再開すべき」とする目標タイムフレームのことである。
例えば、「目標復旧時間を5日とする」とBCPに規定されていれば、災害による事業停止から遅くとも5日後には、重要な製品やサービスの供給再開の準備が完了することを目標とするのである。極論だが、この間は他の事業部門や業務が止まったままでもよいし、本社ビルが被災してブルーシートで覆われたままでもかまわない。何らかの手段を通じて中核的な製品やサービスの提供が5日目以降に始まっていればよいのである。会社が物理的に完全復旧して通常営業(Business as usual)できるまでの日数という意味ではないので注意したい。この意味において、目標復旧時間の捉え方は欧米も日本もほぼ同じである。
では、目標復旧時間はどのようにして決めるのだろうか。同じくBCP策定運用指針には最低限、次の2つを考慮する必要があると書かれている。なお目標復旧時間はRTO(Recovery Time objective)と略称で呼ぶことが多いので以下では主にRTOの表記を使うことにする。
(1)中核事業に関わる取引先やサプライチェーンの要請
(2)あなたの会社の財務状況にもとづく時間
    
    
    
    
     
    
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