丸の内上空

東京都23区内の災害対策は多様です。それは、地形や過去の経験が様々だから。お住まいの地域の防災対策が「その区ならでは」のものになっていることをご存知ですか?まずは住んでいるまちのことを知り、そのまちで安心して暮らすための対策を知る。その行動次第であなたの大切な人の命が救われるとしたら…?23区の「その区ならでは」を、ここで一挙にお伝えします!今回は、千代田区です。

目指せ!区内全域「顔の見える関係」

「85万人と5万8400人」(H27国勢調査)。千代田区の昼間人口と夜間人口の数字です。その差、実に約14.5倍。

千代田区といえば政治・経済の中枢が集まり、皇居もあります。だから千代田区の防災と聞くと、大規模な国家的プロジェクトのイメージがあるかもしれません。しかし千代田区がいま力を入れているのは、意外にも、乳幼児の防災訓練なのです。

「今年度は『ベビーキッズ防災講座』を実施しています。乳幼児の子育てをしている世代はなかなか訓練などが実施されても参加できない。この世代に区として何かできないかと思い、開催を決めました」。千代田区政策経営部災害対策・危機管理課長の加藤啓輔さんはそう振り返ります。

「昨年の3月から販売が始まった液体ミルクについて説明をしたり、消防署の方から子ども用のAEDの使い方を教わったり、助産師さんによる災害時に役立つノウハウのご紹介をいただいたり、紐で赤ちゃんをおんぶする方法を実践したりします」

すぐに活用できる行動が習得できそうです!

急な対応が必要になったとき、冷静に行動ができるか。子ども用AEDを学ぶ
パパも紐でおんぶする方法を懸命に学ぶ

加藤さんによると、教育委員会事務局子ども部子ども支援課との連携で託児所の要望も叶えることができたとのこと。「和室の部屋が会場にあり、そこを託児所として保育士3名に来てもらうようにしました。子どもに何かあればとんでいける距離だから、受講するお母さんたちも安心。紐でのおんぶは実際にお子さんと一緒にやってみたり、その様子を撮影したり、いい雰囲気で実施できました」

「ベビーキッズ防災講座」に参加したママからは「練習になるので、同じような講座があれば何回でも参加したいです」「備蓄食料の試食ができる機会はなかなかないので良かったです」などの感想が寄せられました。不安を抱えていたけれど「知ることができる場」に足を運ぶきっかけをなかなか得られないでいた、という印象を受けました。

継続して参加する方のなかから、ママ防災リーダーが生まれるかもしれません。