第18回:復旧対応の進め方
残された経営資源を踏まえて復旧対応の順位を決める
 
  本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2020/04/30
中小企業の防災 これだけはやっておこう
 
  本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
 
これまで3回にわたり、初動対応後に行うべきアクションとして、被害の確認手順について説明しました。今回は、復旧対応を進めるにあたり重要なポイントを考えます。
まず復旧対応を進める前提として、すでに従業員の安否や、自社建物・設備、そしてライフラインなどの被害確認を終えていることが必須です。
大きな災害に見舞われた場合、自社の被害状況を踏まえて、残された経営資源で復旧対応を進めることになります。しかし、当然のことながら経営資源は平常時と比べると、欠ける、不足するなどして、限定されます。
そこで企業は、復旧対応の優先順位を決め、その順位に従って残された経営資源を配分することが重要です。優先順位の決定にあたっては、次の事項を考慮します。
(1)自社の被災状況 必要な応援を速やかに仰ぐ
自社の被害状況によっては、残された資源だけでの復旧対応が難しいことが起こり得ます。そのような場合、必要な応援を速やかに仰ぎ、復旧対応につなげます。
例えば、従業員の被害が大きく要員が不足する場合は、自社の他拠点から従業員をシフトする、あるいは協力事業者に応援を依頼することが考えられます。
また、原材料・部品の納入事業者の被災による納品ストップについては、代替事業者への発注が必要です。ただし、この代替事業者は、被災前に選び、あらかじめ検討しておくことが求められます。
(2)自社の経営に対する影響度 自社のコアビジネスを見極める
復旧対応は最も重要なものから着手することが原則ですが、企業によってその内容は違います。
例えば、複数の店舗を運営していれば、最も大きな店舗、あるいは最も利益を上げている店舗から復旧する、また製造業で複数のラインを有する場合は、その中で重要な顧客向けの商品を製造しているラインから、という考え方です。
(3)企業の社会的責任 自社が求められていることを優先する
自社の事業が、社会からどのように求められているかという観点も、優先順位を決定するにあたって重要です。
例えば、自社の商品・サービスが、社会機能を維持するライフライン事業者、医療機関などを支えている場合は、その事業を優先して復旧させることが求められます。
(4)災害の発生および復旧の時期 これから何が求められるかを把握する
自社の商品の売れ行きが季節に左右される商品である場合は、これから売れ筋となる商品ラインの復旧対応を優先する形となります。また管理部門においても、年度末であれば決算作業、人事異動の時期であれば当該作業を念頭において優先順位を決めます。
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