地域交通ネットワークが分断する事態

●鉄道、道路、海上輸送、国土保全等の各分野において、耐震化の推進等、減災等のための取り組みが進められているが、大規模災害時においても必要不可欠となる交通ネットワークの代替性を確保するための方法等を含め、重要な交通ネットワークの分断を回避するための分野横断的な取り組みを行う必要がある。
●安全な交通の確保についても信号機電源付加装置の整備が約20万基の信号のごく一部(6400台)のみの整備が目標となっており、その他では対応できない他、沿道の建物の崩壊等その他の要因で交通の安全と円滑が確保できない恐れがある。
●河川・海岸堤防、下水道等が整備途上であること等により大規模な浸水被害が発生した場合に、地域交通ネットワークの分断につながるおそれがあることから、浸水防御のための施設整備を進めることが必要である。

異常渇水等により用水の供給の途絶

●現行の用水供給整備水準を超える渇水等に対しては、限られた水資源を有効に活用する観点から、水資源関連施設の機能強化、水資源関連施設や下水道等の既存ストックを有効活用した水資源の有効利用等の取り組みを進める必要がある。

市街地での大規模火災の発生 

●市街地の建物の耐震対策、防火対策等については対策を完了するまでに時間を要する現状にあり、大規模な地震・津波の際には、市街地で大規模な火災が発生する恐れがある。このため、建物の耐震化・不燃化・建て替えの促進、消防団、常備自主防災組織の充実強化等、ハード・ソフト施策を横断的に進める必要がある。


安全な交通の確保についても信号機電源付加装置の整備が約20万基の信号のごく一部(6400台)のみの整備が目標となっており、その他では対応できない他、沿道の建物の崩壊等その他の要因で交通の安全と円滑が確保できない恐れがある。

海上・臨海部の広域複合災害の発生

●製油所・油槽所の災害対応能力強化、海岸防災施設の整備、港湾施設の液状化対策等の取り組みが進められているが、海上・臨海部における具体的な複合災害を念頭においた分野横断的な取り組み、関係府省庁・自治体等が連携した取り組みは必ずしも十分ではないため、幅広い観点から連携して検討することが必要である。
●海岸防災林の整備にあたっては、地域に根差した植生の活用等、自然と共生した多様な森林づくりが図られるよう対応する必要がある。

沿線・沿道の建物倒壊による直接的な被害及び交通麻痺

●住宅・建築物の耐震化の促進、交通規制にあたる警察官(警察災害派遣隊員含む)の確保等、個別分野の取り組みが行われているが、沿線・沿道の建物倒壊による交通麻痺を回避する観点からの分野横断的な取り組み、関係府省庁地方自治体等が連携し・た取り組みは必ずしも十分ではない。
●安全な交通の確保についても信号機電源付加装置の整備が約20万基の信号のごく一部(6400台)のみの整備が目標となっており、その他では対応できない他、沿道の建物の崩壊等その他の要因で交通の安全と円滑が確保できない恐れがある。ため池、ダム、天然ダム、防災施設等の損壊・機能不全による二次災害の発生
●砂災害防止、土地すべり対策、重要施設の耐震化・液状化対策・排水対策等が進められているが、想定する計画規模に対する対策に時間を要しており、また想定規模以上の地震等では対応が困難となり大きな人的被害が発生する恐れがある。このため、関係府省庁・地方自治体・地域住民・施設管理者等が連携し、ハードとソフトを適切に組み合わせた対策をとる必要がある。
●ダムや河川堤防等が大規模地震にも耐えられるような対策を推進することが必要である。
●施設整備が途上であることが多いこと、災害には上限がないこと、様々な機関が関係することを踏まえ、関係機関が連携してハード対策の着実な推進と警戒避難体制整備等のソフト対策を組み合わせた対策が必要である。
●河川・海岸堤防等の整備にあたっては、地域特性に応じて、自然との共生及び環境との調和に配慮する必要がある。

有害物質の大規模拡散・流出

●災害の規模等によっては、地方公共団体等のリソースの不足や対応能力の限界が生じ、有害物質の漏洩等の拡大及び現状把握の遅れ等により、人々の健康被害が生じる恐れがある。このため、事故発生を想定したマニュアル等の確実な整備、モニタリング体制の構築等について、国と地方自治体との連携を強化して対応する必要がある。

農地・森林等の荒廃による被害の拡大

●農山漁村における住民の高齢化等により、農地等の保全・利用や多様で健全な森林の維持が滞り、農地・森林等が有する国土保全機能(洪水防止、土壌浸食等)が損なわれる恐れがある。このため、地域コミュニティとの連携を含め、森林農地等の機能が適切に発揮されるための総合的な対応をとる必要がある。

森林の整備にあたっては、地域に根差した植生の活用等、自然と共生した多様な森林づくりが図られるよう対応する必要がある。

風評被害等による国家経済等への甚大な影響

●今回の脆弱性評価の結果からは、風評被害等に対する対策があげられていないが、各省個別に検討しているところはあると考えられ、これらを精査する必要がある。

大量に発生する災害廃棄物の処理の停滞により復旧・復興が大幅に遅れる事態

●現状の廃棄物処理施設や仮置き場では大規模な震災により大量の災害廃棄物が発生した場合に対応できないことが考えられることから、災害時における迅速な廃棄物処理を達成するための制度面の検討や、災害廃棄物等の復興事業等への利用等について、府省庁横断的に検討する必要がある。
●安全な交通の確保についても信号機電源付加装置の整備が約20万基の信号のごく一部(6400台)のみの整備が目標となっており、その他では対応できない他、沿道の建物の崩壊等その他の要因で交通の安全と円滑が確保できない恐れがある。

 道路啓開等の復旧復興を担う人材等・(専門家、コーディネーター、労働者、地域に精通した技術者等)の不足により復旧・復興が大幅に遅れる事態

●行政機関と建設関係団体との災害協定の締結、建設関係団体内部におけるBCP策定災害協定の締結等の取り組みが進められているが、道路啓開等の復旧復興を担・う人材等(専門家、コーディネーター、労働者、地域に精通した技術者等)の育成の視点に基づく横断的な取り組みは行われていない。
●地方行政機関等(警察/消防等含む)の職員・施設等の被災による機能の大幅な低下を回避すべきである。

地域コミュニティの崩壊、治安の悪化等により復旧・復興が大幅に遅れる事態

●災害が起きた時の対応力を向上するためには、必要なコミュニティ力を構築しておくことが重要となる。国においては、地域づくりへの支援、コミュニティ力を強化するための支援等の取り組みを充実するとともに、関係府省庁、地方自治体等が連携しながら対応する必要がある。
●警察災害派遣隊即応部隊や緊急消防援助隊、災害派遣部隊等の拡充や装備・資機材等の充実が一定程度図られてきているが、警察災害派遣隊については、訓練練度の向上が必要でありそのための訓練施設の改修・新設が必要である。また、L1規模の災害発生に備え同隊の体制の更なる充実強化や装備資機材の新規整備及び更新並びに給油施設の設置が必要である。さらに、警察署の耐震化率については約8割にとどまっているなど、南海トラフの巨大地震のような大規模災害発生時には、地方公共団体の警察、消防機能が十分機能しない恐れがある。
●安全な交通の確保についても信号機電源付加装置の整備が約20万基の信号のごく一部(6400台)のみの整備が目標となっており、その他では対応できない他、沿道の建物の崩壊等その他の要因で交通の安全と円滑が確保できない恐れがある。
●地方行政機関等(警察/消防等含む)の職員施設等の被災による機能の大幅な低下・を回避すべきである。

●河川・海岸堤防、下水道等が整備途上であること等により大規模な浸水被害が発生した場合に、地域コミュニティの崩壊、治安の悪化等につながるおそれがあることから、浸水防御のための施設整備を進めることが必要である。
●施設整備が途上であることが多いこと、災害には上限がないこと、様々な機関が関係することを踏まえ、関係機関が連携してハード対策の着実な推進と警戒避難体制整備等のソフト対策を組み合わせた対策が必要である。
●河川・海岸堤防等の整備にあたっては、地域特性に応じて、自然との共生及び環境との調和に配慮する必要がある。

 新幹線等の基幹インフラの損壊により復旧・復興が大幅に遅れる事態

●想定している計画規模に対する対策に時間を要しており、計画規模を超える事態等では大規模な災害が発生することにより人的被害が発生する恐れがある。このため、基幹インフラの広域的な損壊により復旧・復興が大幅に遅れる事態を想定した対策について、府省庁横断的に、地方自治体等とも連携して総合的に取り組みを進める必要がある。
●施設整備が途上であることが多いこと、災害には上限がないこと、様々な機関が関係することを踏まえ、関係機関が連携してハード対策の着実な推進と警戒避難体制整備等のソフト対策を組み合わせた対策が必要である。

広域地盤沈下等による広域・長期にわたる浸水被害の発生により復旧・復興が大幅に遅れる事態

●広域的地盤沈下が発生した場合には、想定内の降雨や高潮等であっても、甚大な被害が発生したり、その対応に長期間を要するため、浸水防御のための施設整備を進めるとともに、復旧・復興が大幅に遅れる事態を想定した対策について、府省庁横断的に、地方自治体等とも連携して総合的に取り組みを進める必要がある。

(現在取り組んでいる施策に対する分野別の課題)

※分野横断的な課題として考えられるリスクコミュニケーション、老朽化対策、研究開発についても重要な課題がある。

②現在取り組んでいる施策に対する分野別の課題

 行政機能(行政機能分)

●各府省庁において業務継続計画が策定されるとともに、適宜改定が行われているが、府省庁によっては、バックアップ体制が不十分である。また、業務継続計画の内容が不十分、又は不整合があると、政府全体としての事業継続体制が十分に確立されない恐れがある。また、想定している首都直下地震の規模以上の災害が発生すると業務継続が困難となる恐れがあるだけでなく、地震以外の災害に関する検討及び平常時の対応に対する検討が十分になされていない。
●地方公共団体において地方業務継続計画の作成率及び内容が向上しないと、地方行政の業務継続体制が十分に確立しない恐れがある。●庁施設の耐震化については、官その防災上の機能及び用途に応じ想定される地震及び津波に対して耐震化等が行われており、現在実施中の対策が完了すれば最低限人命の安全の確保と機能確保は図られるが、完了に向けて引き続き対策を実施することが課題である。
●情報通信機能や金融機能等については、電力等その他の主要インフラの維持が前提となるため、電力等が途絶した場合には必要な機能が果たせない恐れがある。
●各分野におけるインフラに関する情報の集約

 行政機能/警察・消防等(警察・消防等分)

●地域の防災力を高める避難所等の耐震化、Jアラートの自動起動機や交通情報収集・提供装置等の整備等による住民への適切な災害情報の提供、火災予防・危険物事故防止対策等が進められているが、取り組み主体となる地方公共団体の財政状況等により一部で計画的に進捗していないこと、南海トラフの巨大地震等の広域的かつ大規模の災害が発生した場合には十分に対応できない恐れや、道路啓開が行われていないと被災地へ到達できない恐れがある等の課題がある。
●警察災害派遣隊即応部隊や緊急消防援助隊、災害派遣部隊等の拡充や装備・資機材等の充実が一定程度図られてきているが、警察災害派遣隊については、訓練練度の向上が必要でありそのための訓練施設の改修・新設が必要である。また、L1規模の災害発生に備え同隊の体制の更なる充実強化や装備資機材の新規整備及び更新並びに給油施設の設置が必要である。さらに、警察署の耐震化率については約8割にとどまっているなど、南海トラフの巨大地震のような大規模災害発生時には、地方公共団体の警察、消防機能が十分機能しない恐れがある。
●情報通信機能には、電力等その他の主要インフラの維持が前提となるため、電力等が途絶した場合には必要な機能が果たせない恐れがある。
●実動機関等においては、電力が途絶した場合でも通信を途絶しないよう整備を進めているが、段階的な整備であるため現時点では効果が限定的である。
●ネルギー・産業基盤における災害は、エ大規模化・複雑化しており現状の消火技術では対応できない恐れがある。
●安全な交通の確保についても信号機電源付加装置の整備が約20万基の信号のごく一部(6400台)のみの整備が目標となっており、その他では対応できない他、沿道の建物の崩壊等その他の要因で交通の安全と円滑が確保できない恐れがある。

住宅・都市施設

●住宅の耐震化率は約8割に達しているが、種々の課題により進捗には時間を要すことが想定され、その間に被災した場合には被害が甚大となる。
●学校施設のうち公立は地方公共団体ごとに進捗状況にばらつきがあり、私立は地方公共団体学校ごとに進捗状況にばらつきが・ある。
●学校施設では、構造体の耐震化に比べて非構造部材の対策が遅れており、大規模災害が発生した場合には、人命の安全確保はおろか、避難所としても機能しないおそれがあり、耐震対策の一層の加速が必要である。
●都市の安全確保計画の取り組みは多くのプログラムに密接に関連しており有効な取り組みであるものの、全国的普及が課題である。
●地方行政機関の耐震化が遅れており、庁舎が被災したときの業務バックアップ拠点となりうる学校、・公立社会教育施設、社会体育施設等の耐震化の促進が課題である。
●避難所となる学校施設の防災機能(備蓄倉庫、蓄電機能等)が必ずしも十分でなく、防災機能の一層の強化が必要である。
●情報通信システムの機能維持のため、住宅都市施設分野における可能な限り高い・精度の被災想定に基づく施策を導入することが課題である。
●流通拠点の耐震化、一般建築物の倒壊による道路の不通などによるサプライチェーンの混乱などに備えるため、建築物全般の耐震化を促進することが課題である。
●水道施設の耐震化については、基幹管路の耐震化でも約3割と大幅に遅れており、断水した場合の応急給水を円滑化のため近隣地方公共団体との連携強化が必要。
●地震対策上重要な下水管きょにおける地震対策は遅れており、震災時に下水道システムが機能しない恐れがある。
●都市部において耐震化未了の建築物倒壊による地域交通ネットワークの分断の恐れがある。
●地震時等に著しく危険な密集市街地において大規模火災が発生した場合の延焼拡大を防止できなくなる恐れがあり早期解消が課題である。
●地域コミュニティの崩壊、治安の悪化等により復旧復興が大幅に遅れる事態に対・する対応が十分になされず、復興が遅れる恐れ。
●急速な高齢化、過疎化が進む地域コミュニティにおいて、地域の拠点を担う公民館が中心となり、災害発生時の自助共助による・減災・防災教育を推進し、地域防災力の向上を図っていくことが必要。
●構造材料の信頼性向上に関する研究など基礎研究を推進する必要がある。
●長時間・長周期の振動が建築物に与える影響に関する知見が不足している。
●官民連携・民間資金の活用(PFI/PPP方式)等についても検討する必要がある。

保健医療・福祉

●保健医療、福祉分野の耐震化の進捗率は、医療施設は約6割、社会福祉施設は約8割となっているが、対策未了の施設について倒壊の恐れがある。
●大規模津波、広域かつ長期的な浸水、情報伝達の遅れに対する総合的な取組みがなく、これら災害に対して脆弱である。
●複数のプログラムに関連する災害派遣医療チーム(DMAT)の養成は、平成26年3月末までにすべての災害拠点病院に配置する目標があり適切な対策が取られている。
●社会福祉施設は被災時に孤立した場合の支援が不十分であり、適切な対応が課題である。
●居住地以外の市町村における被災者に対する予防接種がなされない恐れがある。
●交通信号の全面停止に伴う重大交通事故の多発により、救急搬送される多数の患者を受け入れる救急指定病院の受入能力、医師等の支援体制に関する施策がなく、その対応が課題である。
●情報通信システムの機能維持のため、保健医療福祉分野における可能な限り高い精・度の被災想定に基づく施策を導入することが課題である。
●保険医療、福祉施設における長期間にわたる停電に対応可能な非常用発電施設に関する施策がなく、医療用の情報通信機器の安定的な稼動が課題である。
●街地での大規模火災の発生、市海上・臨海部の広域複合災害、有害物質の大規模拡散、流出により、多数の負傷者が発生する恐れがあることから、現地あるいは救急指定病院での緊急医療の対処能力が需要に追い付かず、人的被害が甚大となる恐れがある。