効果的な訓練の組立て方
実動訓練及び机上訓練のそれぞれについて、次のポイントをおさえることにより効果的な訓練が実施できると筆者は考えている。

□実動訓練では目的・目標・評価基準を明確に設定する 
訓練を企画・実施する際のポイントは、①目的の設定、②行動目標の具体化、③評価項目・評価基準の具体化、④訓練の評価、分析、⑤改善の実施、という5点である。 

先に示した訓練メニューのうち、机上訓練については、ディスカッションや課題の抽出自体が訓練の目的となることも多いが、実動訓練については、訓練の目的・行動目標・評価基準は必ず存在する。訓練を効果的なものとするためには、これらを明確に設定することが何よりも重要である。

まず重要なのは目的の設定である。訓練の種類はいろいろあるが、目的を設定しない訓練は訓練ではない。目的を設定したら、訓練時の個々の活動について行動目標(あるべき姿)を設定する。目的と行動目標が設定できれば、訓練時に目標どおりに行動できたかどうかを確認するための評価基準を設定する。ここで、目的・行動目標・評価基準が一貫性のある関係になっていることが重要となる。訓練の評価では、評価基準をもとにその到達度を評価し、そこから課題を分析する。そして、改善策を整理し、実行するという流れになる。

□机上訓練ではとことん想像を膨らませる 


机上訓練は頭を動かす訓練であり、訓練シナリオや検証すべき対象についての空間的な制約や時間的な制約を受けにくい。その意味で、事態進展の各段階の対応について、○○になったらどうするのか、どのような状況になったら▲▲を実施するのかというように、様々な状況を設定しながら、想像をとことん膨らませておくべきである。その際、先に述べたような6W1Hの明確化や、その他の危機管理のポイントもぜひ考慮してほしい。机上訓練では、関係者でディスカッションをする中で様々な課題が見えてくる。ディスカッションの最終結果(意思決定の訓練の場合は、最終的な結論)だけではなく、ディスカッションのプロセスやディスカッションによって抽出された様々な課題を記録、整理することも忘れてはならない。なお、このような机上訓練は、実動訓練に比べて準備の負荷も少ない。部署単位、チーム単位で気軽に取り組んでもらいたい。例えば、表に示すようなシナリオを設定するだけで効果的なディスカッションを行うことができる。


最後に
最近では中国で鳥インフルエンザ(A/H7N9)の人への感染も確認されている。新型インフルエンザはその姿を変え、近いうちに再び我々の社会を襲うであろう。来たる時に備え、我々は新型インフルエンザの危機管理を怠ってはならない。訓練というツールを効果的に活用し、危機管理システムを真に効果的なものにする必要がある。


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