2020/09/03
企業をむしばむリスクとその対策
□解説:サスティナビリティトランスフォーメーション
経済産業省では、昨年11月に「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」を立ち上げ、その後発生した新型コロナウイルスの感染拡大による状況変化も踏まえながら、中長期の企業価値向上に向けての企業と投資家との実質的な対話の課題とその解決の方向性について議論が進められてきました。
8月28日、当該検討会での中間とりまとめが報告されました。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/sustainable_kigyo/pdf/20200828_1.pdf
昨今、企業経営を取り巻く環境変化の不確実性が一段と高まり、サステナビリティ(持続可能性)やレジリエンス(強靱性)への要請が高まるなか、企業と投資家が実質的な対話をいかにして実現し、企業の持続的な価値向上につなげていくかは重要な課題です。
この取りまとめは、①現状認識、②中長期の持続的な企業価値向上に対する課題、③問題解決への方向性、という構成になっていて、例えば①現状認識では「新型コロナウイルスの感染拡大により、Society5.0への構造変革や、企業のDXの対応、社会のサステナビリティを意識したSDGs経営など、従来から指摘されていたトレンドが更に加速化」など、日本企業や資本市場、経営を取り巻く環境などからの現状認識が挙げられています。
②中長期の持続的な企業価値向上に対する課題としては、「多角化経営・事業ポートフォリオマネジメント」「新事業創出やイノベーション」「ESG/SDGsなどの社会的価値と経済的価値との両立」の3点において、企業と投資家で認識のギャップが大きいとされており、③その問題解決の方向性として、企業のサスティナビリティ(稼ぐ力)と、社会のサステナビリティ(社会課題、将来のマーケット)を同期化するために、企業と投資家の長期の時間軸での対話が必要であると提言しています。そして、こうした経営の在り方や対話の在り方を「サスティナビリティトランスフォーメーション(SX)」と呼ぶとしています。
企業をむしばむリスクとその対策の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/13
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方