2017/10/06
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
炭火は砂で消せません!消し方も学びましょう
こちら、東京都のIさんのお話です。
それは確か、末っ子が2歳になったばかりの夏だったと思うのですが、子どもたちを連れて帰省先の新潟で、海に遊びに行った時のことです。私たち大人もそばにいる砂浜で、お兄ちゃん、お姉ちゃんと一緒にとことこ駆け回って遊んでいた時に、いきなり末っ子が火が付いたように泣き出したことがありました。
尋常じゃない泣き方で、すぐに駆けつけて抱き上げながら、上の子たちに「どうしたの?」と聞くも、当時小学生のお兄ちゃんもお姉ちゃんも何が何だかわからない途方に暮れた顔だった気がします。
どうやら、足を痛がっているらしいとわかって、何か踏んだのかと周り中を見渡して、かすかに砂から見えていた黒い炭のかけらを見つけました。もしや……と悪い予感がしてそこに足を踏み入れると、まだ熱く、ぎゃーっと叫びそうになったのを覚えています。
それからは、周りの人たちが氷をもらいに走ってくれたり、おやつを与えてなだめてくれたり、薬局を探して電話し、薬を買い求めに走ったり、大騒ぎでした。幸いにも、踏み込んだ片足の裏側の一部が赤く水ぶくれになっただけで済みましたので、それ以上の大事にはなりませんでした。けれども、そこでもし、転んでしまっていたら……と思うと、背筋がゾッとしました。
実家近くの砂浜では、夏に海岸でキャンプをする人たちも多く、海で焚き火をすることはよくあると思います。けれども、焚き火の始末、炭の始末には十分気を配って欲しい、少なくても、みんなが海水浴にきて遊ぶ砂浜の場合、砂で消したつもりで埋めてしまうなんてことがないようにどうかどうか……と痛切に感じたできごとでした。
結構、同じ事件があるという事は、砂に埋めれば火は消えると思い込んでいる方多いのでしょうか?それとも、目に見えなくすればいいと思っているのかな???使う場合には、消し方までしっかりマスターして欲しいと思います。
炭を砂浜に埋めるのはマナー違反になるのはもちろんなのですが、炭がなかなか消えないことを知っていたら、単なるマナーの問題とは言えないのではと思っています。
砂や石は温まるとなかなか冷めません。だから、石焼き芋が作れるくらいなので、砂に入れる事は火を消す行為ではなく、炭の威力を増す行為になります。また砂は風で飛びますから、酸素を炭に供給することが可能になります。そうなると炭も燃え続けます。
炭を使うというのに、このことを知らないというのでは、知らないこと自体に過失があると言っていいのでは?石器時代から使われていたといわれる炭のことは、人類の叡智ともいうべきものなのに、知らないというのでは残念すぎます。だから炭の後始末で、砂に埋めるという行為は単なるマナーの問題ではなく、傷害罪や過失傷害になりうる刑法犯の問題として、もっと深刻に考えて欲しいと思います。
で、炭の消すためには酸素を断つのが一番なので、消し壺が勧められています。でも、壺なんて身近にないという方がほとんどだと思います!!うちは、消し壺として、峠の釜飯(おぎのや)の釜飯を買ったら付いてくる益子焼の釜飯入れを火消壺として使っています。
重たいからと紙に変わってきてるみたいですが、もし、見かけたら、確保して火消壺に使ってみてください。陶器の蓋もついているので、酸素をシャットアウトできるのです!
それも手に入るとは限らないので、水につけて火を消すこともできると知っておいて欲しいです。砂浜には海水があるのに、どうして砂に埋めるのか・・・。一瞬だけ水をかけても消えません。火箸で挟んでしっかり熱くなくなるまで浸けていただければと思います。
で、さらに知られていないんだなと思う事は、水を使って消した炭でも乾かせば再利用できるという事です。
吸湿性があって水分を吸ってる炭なので、火をつける前に天日でよく乾かすと、着火剤がなくても火がつくのです。水に浸しても同じです。乾かせばいいだけ。何度も使えるものを海に捨てていってしまうなんてもったいないです!!

ということで、炭の消し方もちゃんと覚えておくと、これからの時期、バーベキューやサンマや魚貝類、秋野菜など、炭火で焼くだけで美味しいものが食べられます!
美味しいけど、防災!これがこの季節の防災の醍醐味だと思います♪
(了)
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方