講演するフェイスブックジャパン広報の下村祐貴子氏

フェイスブックジャパンは27日、「ソーシャルプラットフォームの活用で進化する防災」と題し、宮城県仙台市で開催された世界防災フォーラムでフェイスブック(FB)の災害時における活用方法についてセッションを開催した。講演した同社広報の下村祐貴子氏は「15歳の時、阪神・淡路大震災で被災し、情報共有の大切さを知った。情報が錯綜し、物資が多く届きすぎたり足りなかったりという状況を、身をもって体験した。災害に対してSNSで何ができるか、常に考えている」とする。

「ソーシャルプラットフォームの活用で進化する防災」セッションの様子

FBでは現在、災害が発生すると「災害支援ハブ」が起動し、自分の安否を周囲に知らせる「セーフティチェック」と、必要な物資のマッチングを図る「コミュニティヘルプ」が立ち上がる。下村氏は「災害支援ハブは東日本大震災の発生を受け、社内のスタッフが開発した。この3年間で、世界中で850回以上立ち上がり、20億人の安否を伝えた。もっともっと多くの人にこの機能を使ってほしい」と訴える。

FBの「災害支援ハブ」は3年間で850回以上起動し、20億人の安否を伝えた

平時からFBで災害に関する情報などを発信しているという一般社団法人「防災ガール」の中西須瑞化氏は、「防災はテクノロジーを駆使した『新しい防災』と、これまでの伝承を受け継ぐ『既存の防災』の両方が大事。テクノロジーと伝承を融合させ、防災を再定義することが必要」と話す。防災ガールは情報発信以外にもメンバーとのコミュニケーションやプロジェクトチーム内のやり取り、クライアントと情報共有などをすべてFBのメッセンジャー機能で完結させているという。昨年から実施している津波防災オレンジフラッグ普及プロジェクト「#beorange」のFBページは現在1400人以上の「いいね!」を集め、注目を集めている。

講演する防災ガールの中西須瑞化氏と筒木愛美氏

同法人の筒木愛美氏は「防災ガールのメンバーは全国にいるが、FBのメッセンジャーなら住んでいるところに関係なく、メンバーがどこでも即時にコミュニケーションが取れる。またクライアントとのやり取りもメールよりも親しみをこめて行える」とする。また災害時の活用について「即時性の高いものはTwitterを、まとめ情報はFBを活用するなど、使い分けている。災害時には救援者やボランティアのFBページが立ち上がるので、そちらの情報をシェアするなど、今の私たちにはなくてはならないツール」と、SNSの災害時の有効性について強調した。

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(了)

リスク対策.com 大越 聡

※記事に一部誤りがあり、語句を修正しております。お詫びし、修正いたします(2017年11月30日)