2017/11/29
防災・危機管理ニュース

フェイスブックジャパンは27日、「ソーシャルプラットフォームの活用で進化する防災」と題し、宮城県仙台市で開催された世界防災フォーラムでフェイスブック(FB)の災害時における活用方法についてセッションを開催した。講演した同社広報の下村祐貴子氏は「15歳の時、阪神・淡路大震災で被災し、情報共有の大切さを知った。情報が錯綜し、物資が多く届きすぎたり足りなかったりという状況を、身をもって体験した。災害に対してSNSで何ができるか、常に考えている」とする。

FBでは現在、災害が発生すると「災害支援ハブ」が起動し、自分の安否を周囲に知らせる「セーフティチェック」と、必要な物資のマッチングを図る「コミュニティヘルプ」が立ち上がる。下村氏は「災害支援ハブは東日本大震災の発生を受け、社内のスタッフが開発した。この3年間で、世界中で850回以上立ち上がり、20億人の安否を伝えた。もっともっと多くの人にこの機能を使ってほしい」と訴える。

平時からFBで災害に関する情報などを発信しているという一般社団法人「防災ガール」の中西須瑞化氏は、「防災はテクノロジーを駆使した『新しい防災』と、これまでの伝承を受け継ぐ『既存の防災』の両方が大事。テクノロジーと伝承を融合させ、防災を再定義することが必要」と話す。防災ガールは情報発信以外にもメンバーとのコミュニケーションやプロジェクトチーム内のやり取り、クライアントと情報共有などをすべてFBのメッセンジャー機能で完結させているという。昨年から実施している津波防災オレンジフラッグ普及プロジェクト「#beorange」のFBページは現在1400人以上の「いいね!」を集め、注目を集めている。

同法人の筒木愛美氏は「防災ガールのメンバーは全国にいるが、FBのメッセンジャーなら住んでいるところに関係なく、メンバーがどこでも即時にコミュニケーションが取れる。またクライアントとのやり取りもメールよりも親しみをこめて行える」とする。また災害時の活用について「即時性の高いものはTwitterを、まとめ情報はFBを活用するなど、使い分けている。災害時には救援者やボランティアのFBページが立ち上がるので、そちらの情報をシェアするなど、今の私たちにはなくてはならないツール」と、SNSの災害時の有効性について強調した。
■関連ニュース
フェイスブック、災害支援機能を刷新 「災害支援ハブ」、リンク機能も追加
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3770
フェイスブック、九州豪雨で情報センター
コミュニティヘルプ増設後国内初
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3249
フェイスブック、テロ排除姿勢明確に
AI活用し検査員も増員、外部とも協力
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3138
フェイスブック、災害情報共有を充実
ノート機能での報告や米社からの情報受信
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3086
(了)
リスク対策.com 大越 聡
※記事に一部誤りがあり、語句を修正しております。お詫びし、修正いたします(2017年11月30日)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方