2021/02/10
事例から学ぶ

危機管理やBCPは不測の事態から組織と人を守るもの、かつCSRやESGと同様、社会貢献を目指すものでもある。ステークホルダーに自社の姿勢を示すものといってもいい。取り組みを社会からの支持獲得につなげていくのも一つのゴールだ。30社超の事業会社から成る物流サービスのSBSグループは、持株会社のSBSホールディングス(東京都墨田区、鎌田正彦社長)を中心に、重点的に取り組むべき経営リスクとその対策をCSR視点でコントロール。特色の違う企業の集団が一丸となってリスクマネジメントを推進し、業界全体の信頼向上に向かっていけるよう舵(かじ)取りする。
SBSホールディングス
東京都墨田区
❶ 特色の違う企業群が一体感をもってリスク管理
・重点リスクと活動項目をあらかじめ設定。課題と対策を体系的に整理することで、グループで取り組むことと各社で取り組むことを明確に
❷ CSRに紐づけてステークホルダーを意識
・会社と社員を守るという目的をCSRにリンクさせる。実際、情報セキュリティーでは「顧客に迷惑をかけた」経験が従業員の意識を変えた
❸ 若者の確保に向け業界全体の信頼向上を目指す
・「 重大事故」「人事・労務(コンプライアンス)」「情報セキュリティー」のリスク対策は、物流業界の信頼向上に必須。若者に「入りたい業界」と思ってもらうことが願い
グループとして特に重点的に取り組むリスクが大きく分けて3つ。「重大事故」「人事・労務(コンプライアンス)」「情報セキュリティー」だ。
持株会社のSBSホールディングスを中心に、国内外30社超の事業会社で構成する企業集団。主軸の物流事業は生産から消費、廃棄までの全領域をカバーし、事業拠点は655、保有車両はトラック約5000台、従業員数は約2万人に及ぶ。経営の脅威となるリスクは数知れない。
「事業会社が個々にリスクを洗い出し、それを集約して管理するのが従来の手法。ただ、取扱品目や運送条件が各社で違うなか、全方位的に洗い出しを行うのは負荷が大きい」と、SBSホールディングスCSR推進部の佐川弘樹次長は説明する。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年5月30日配信アーカイブ】
【5月30日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:高年齢労働者のリスク
2023/05/30
-
もうAI脅威論を唱えている段階ではない
インターネット上の大量のデータを組み合わせて新しいデータを生成するAIが脚光を浴びています。一般企業においても経営改革の切り札としてAI技術への関心が急拡大。一方で未知なる脅威が指摘され、リスクや倫理の観点から使用を規制する動きも。AIの未来は明るいのか。東京大学次世代知能科学研究センターの松原仁教授に聞きました。
2023/05/28
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年5月23日配信アーカイブ】
【5月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:化学物質災害・事故対応に役立つ情報基盤サイト
2023/05/23
-
重要リスクの理解深めるファシリテーション
重電機メーカーの明電舎は2016 年度から、全社的リスクマネジメント活動を開始。3ラインモデルと呼ばれる機能分担手法とCSAと呼ばれるリスク分析・評価手法を用いて体制を整備し、一般社員や管理職のファシリテーションを充実して重要リスクの把握、共有に務めながら活動への理解を深めています。同社の取り組みを紹介します。
2023/05/18
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年5月16日配信アーカイブ】
【5月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:AIを使ったBCP教育・訓練
2023/05/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方