2021/05/06
アンケート結果から見直す防災とBCP
リスク対策.comが行った地震シミュレーションアンケートの結果から、災害対策のポイントを学ぶシリーズ13回目は、目標について取り上げます。下記の質問に対して、自社の取り組みがどの程度当てはまるか、ぜひ改めて組織内で考え、現状の対策を見直してみてください。このシリーズが終わる頃には、きっと自分たちの防災やBCPのレベルが向上しているはずです!
【質問21】
災害対策本部会議では、今後の事業継続の方針について話し合いが行われました。あなたの組織では、あらかじめ、どのような事業を、何日以内に、どの程度のレベルまで復旧させるか目標が決められていると思いますか?
【質問22】
ライフライン各社から、復旧には、かなり時間を要するとの発表がありました。あなたの組織では、1週間程度ライフラインが停止しても、顧客や取引先、市場に大きな影響を与えないよう主要事業を継続させられると思いますか?
①全くそう思わない
②あまりそう思わない
③半々
④そう思う
⑤強くそう思う
さて、どうでしょう? 回答状況は以下の通り。
【質問21】

【質問22】


ライフラインの停止期間について、今回は「1週間程度」として質問しましたが、予想よりも対策が進んでいないようです。私たちが、復興庁・岩手県・宮城県・福島県と一緒に行った東日本大震災の被災者調査では、ライフラインが被害を受けた場合、震災後1週間で停電が復旧したのは約6割、断水が復旧したのは約5割、都市ガスが復旧したのは約1割でした。首都直下地震や南海トラフ地震でも、1週間程度はライフラインが使えない中で事業継続を行う必要がありそうです。
工場の動力源ともなると大規模なものになり話は別ですが、事務所などで事業継続を可能にするために、水や食料の他、簡易的な発電機(電気が使えるところから持ち込めるポータブル電源含む)、トイレやウェットティッシュなどの衛生用品、毛布といった防寒具などを備える必要があります。災害時にライフラインが使用できない状況に陥ると、BCPで設定していた目標復旧時間(RTO)や目標復旧レベル(RLO)が大きくずれ込んでいく可能性があることを知っておきましょう。
アンケート結果から見直す防災とBCPの他の記事
- 支払いや復旧にいくら必要になりますか?
- 目標を設定せずにBCPは機能しますか?
- 取引先の連絡先は常に最新になっていますか?
- 電源・通信手段は確保できていますか?
- 災害時の出社・帰宅判断基準を設けていますか?
おすすめ記事
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方