2018/03/09
防災・危機管理ニュース
東京都は9日、2020年東京オリンピック・パラリンピックの安全対策などを公表した。大会運営の総合的な連絡調整やインシデント対応のため、都は司令塔として「都市オペレーションセンター(仮称、COC)」を設置。関連情報を一元的に集約し、国や大会組織委員会、都各局が連携し危機的事態に対応する。
都議会オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策委員会で明らかになった。COCはライフラインや交通情報のほか、気象、災害、サイバーセキュリティ、治安に関する情報を一元的に集約。国の内閣官房に大会期間中置かれる「セキュリティ調整センター(仮称)」や、大会組織委員会のメインオペレーションセンターと連携。大会運営に問題が生じ、組織委から支援要請があった場合、COCは組織委から情報を受け、警視庁や東京消防庁など関係機関と対応する。
大会期間中の対処要領では(1)治安対策(2)サイバーセキュリティ(3)災害対策(4)感染症対策ーの4つの視点からまとめた。治安対策はテロの発生や外国人など訪問者の増加による犯罪やトラブルの増加を想定。警視庁や区市町村との見守りを強化する。インシデント発生時はCOCで情報収集を実施。国や組織委、区市町村との連携のほか、都福祉保健局や都病院経営本部による東京DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣といった、都各局の役割をあらかじめ定め、いざという時実行させる。
災害対策も都各局の役割を設定。都総務局は都外の救出機関への要請のほか大会会場や周辺施設を一時滞在施設にすることや、都建設局、都港湾局と緊急輸送ルートの確保に努める。また暑さ対策として会場周辺や観光地には応急給水ができるよう準備する。
サイバーセキュリティについて、都は都CSIRT以外に各局にもCSIRTを置いている。都や都公営企業局など局のCSIRTがインシデントを検知した場合、調査・分析を行い封じ込めや事後処理を実施。COCや大会期間中に置かれる政府や組織委のCSIRTとも連携して対処する。
感染症は国内外の人の往来が増え、様々な感染症発生のリスクがある。国内発生のないタイプの発生も考えられることから、最新の情報を医療機関に周知。早期の発生探知と病原体特定のための検査を実施。タイプに応じた拡大防止策として保健所による疫学調査を行い、医療提供を施すという、一連の流れを確実に行うことが重要とした。
■資料はこちら
http://www.2020games.metro.tokyo.jp/about/committee/2020_rugby/index.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- 東京五輪
- 東京オリンピック・パラリンピック
- 東京都
- テロ
- サイバーセキュリティ
- 感染症
- 治安
- 災害
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方