1人1日8回に備えろ!よこすか海辺ニュータウン

横須賀市東部の東京湾に面した埋立地に立地する入居者およそ1000人の大規模マンション「ソフィアステイシアは、災害時のトイレ継続計画をMLCP(Mansion Life Continuity Plan=マンション生活継続計画)の最重要事項に掲げて取り組んでいる。 

「1日、2日食事を食べなくても、日本では飢え死にすることはない。しかし1日を水とトイレなしでは人間は生きることはできない」と話すのは、よこすか海辺ニュータウン連合自治会長で、「ソフィアステイシア」のMLCP策定委員も務める安部俊一氏だ。 

安部氏によると、暖房が停止した屋内や吹きさらしの屋外では、昼夜を問わず3時間おきに尿意・便意が訪れるという。この傾向は高齢者ではより顕著になる。すなわち、1日に8回分のトイレを用意しなければならない。「ソフィアステイシア」では居住者全員が1日8回のトイレに備えたMLCPを策定した。 

まず、マンション自主防災組織として、震度5弱以上の地震が発生した際には、排水系統の点検が全て完了するまでトイレを含む風呂や台所などの生活排水の使用を全面禁止にした。これは仮に一時的に排水が利用できたとしても、地震により配管がずれたりしていた場合、下層階の住居に水漏れなどの被害をもたらす恐れがあるからだ。また、同マンションは津波警戒区域内にあるため、災害用トイレは津波リスクが去るまで設置しないとしている。 

津波リスクが去った後、マンションで備蓄してある災害用トイレをマンションの庭に設置する。「ソフィアステイシアは8000回〜10000回対応の大型トイレを4基のほか、マンホール直結タイプのトイレを10基備蓄してある。これでマンション居住者1000人が1日8回使用しても、10日から2週間は対応できる」と安部氏は胸を張る。 

トイレットペーパーは各家庭で備蓄し、災害用トイレを利用するたびに各自持参するものとした。また、夜間はトイレ警備班が巡回警護、部外者のトイレ利用を原則禁止にするなど、徹底した取り組みを施している。 

「個人で携帯する携帯用トイレ、家庭で使える簡易用トイレ、そしてマンションで備蓄する災害用トイレと、それぞれ時系列に合わせて用途に応じた備蓄が必要。さらに訓練で実際に組み立ててみるなど、トイレの事業継続をMLCPの最重要課題として取り組んでいる」(安部氏)。