70歳までの就労確保努力義務化
高年齢者雇用安定法改正のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2021/05/25
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
少子高齢化により、日本の生産年齢人口は減少し続けています。その一方で「人生100年時代」と言われるようになり、「元気なうちはできるだけ長く働き続けたい」と考える人が増加。このような状況において、働く意欲のある人が働き続けられる環境の整備を目的として、高年齢者雇用安定法(「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」)が改正され、令和3年4月から、70歳までの就業確保措置を講じることが企業の努力義務となっています。
そこで今回は、70歳までの就業確保への対応のポイントについて解説します。
高年齢者雇用安定法では、企業に対して、60歳未満の定年制を設けることを禁止し、①65歳までの定年引上げ、②定年制の廃止、③65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度など)の導入のいずれかの措置を講じることを義務付けています。
今回の改正では、従前の規制に加えて、65歳から70歳までのシニア人材の就業機会を確保するため、65歳以上70歳未満の定年を定めている企業および65歳までの継続雇用制度を導入している企業に対して、次の①から⑤のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じる努力義務が新設されました。
いずれの措置を適用するかについては、労使間で十分に話し合い、高年齢者のニーズに応じた措置を講じることが望ましいとされています。
④および⑤の「創業支援等措置」は、過半数労働組合などの同意を得て導入することとされています。
また、③から⑤については、企業が適用対象者を限定する基準を設けることが認められています。厚生労働省の「高年齢者雇用安定法Q&A」では、「会社が必要と認めた者に限る」や「上司の推薦がある者に限る」などの基準は不適切とされており、対象者を限定する基準を策定するに当たっては、「具体性」と「客観性」が確保されるよう、次の点に留意して策定することが望ましいとしています。
ア. 労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ、到達していない労働者に対して能力開発などを促すことができるような具体性を有するものであること。
イ. 企業や上司などの主観的な選択でなく、基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことがないよう配慮されたものであること
ニューノーマル時代の労務管理のポイントの他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方