2016/10/23
誌面情報 vol51
新型感染症に対する特措法の流れ
特措法では、インフルエンザなどの感染症対策について、「未発生期」「海外発生期」「国内発生早期」「国内感染期」「小康期」などの段階に分けて対策を講じている(図2)。

海外発生期…海外で新型インフルエンザなどの感染症が発生し、国内で患者が発生していない時期。内閣総理大臣をトップとする政府対策本部が設置され、同時に都道府県でも知事をトップとする都道府県対策本部を設置することが義務付けられる(図3)。政府対策本部は「基本対処方針」を公示し、国内への侵入を防ぐために水際対策(検疫強化)を実施するほか、発生国からの帰国者のうち、感染の疑いのある患者に対し、停留や隔離などの措置を取る。国内発生早期…国内で感染患者が発生した場合、感染拡大のスピードを遅延させ、感染のピーク時の患者数を抑制することを目指す。感染ピークを抑えることで、患者が適切に治療を受けることができれば、日本の医療水準であれば重症者や死亡者を一定に抑えることが可能だ。

国内感染期…国内で発生した感染症の病原体が致死率が高いなど病原性が高いものであった場合、国内発生早期の段階で「緊急事態宣言」が政府から発令される。学校の休校や外出自粛のほか、施設使用制限などの緊急措置が講じられる(図4)。措置の期間は1〜2週間が目安とされている。レベルが弱かった場合は、マスク着用や咳エチケットなどの公衆衛生対策がとられることになる。

誌面情報 vol51の他の記事
- マスクの基礎知識 フィットテストを怠るな!
- うがいの基礎知識 ガラガラってする?声を出す??
- BCP担当者が最低限おさえておきたいインフルエンザ特措法
- 手洗いの基礎 アルコール洗浄だけでいいと思っていませんか?
- 講演録_01 2015年7月17日開催セミナー 想定を超えたスーパー台風に企業はどう備える?
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方