スポーツが社会と組織を変えていく
第1回:連載開始にあたって―スポーツと社会・組織―

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2022/01/05
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンス
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2021年7月から9月にかけて、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)が開催されました。皆様ご存じのとおり、本来、東京2020大会はその名の通り2020年に開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの流行により1年の延期が決定されました。
そして、その1年後に開催に至ったわけですが、我が国において新型コロナ禍が拡大していた局面で開催されたこともあり、開催にあたって賛否両論の激しい議論を巻き起こすことになりました。こういった社会情勢に鑑みれば、東京2020大会の開催は、祝賀ムード一色というにはほど遠い状況であったといわざるを得ないでしょう。
しかしながら、平時とは異なったさまざまな制約が課せられた状況においても、アスリートが東京2020大会開催の喜びを噛みしめて、前向きに、真摯に競技に向き合う姿勢に、開催の当否に関する立場を超えて多くの人々が感動したことも紛れもない事実です。
そして、この感動の根底には「スポーツ・インテグリティ」と呼ばれるものの存在があると私は考えています。
※以上、拙稿「地方公共団体におけるスポーツ行政―アンチ・ドーピングに焦点を当てて―」(政策法務Facilitator vol.72収録、第一法規)の一部を加筆・修正
本年2022年2月・3月には、北京2022冬季オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、北京2022大会)が開催されます。北京2022大会についても、開催国である中華人民共和国における人権状況等への懸念から、いわゆる外交ボイコットが展開されるなど、その開催に関して懸念事項が横たわっているといえます。
しかし東京2020大会と同様、北京2022大会でもきっと、アスリートの真摯な姿に、立場を超えて多くの人々が感動することになるでしょう。
本連載においては、スポーツの感動の源泉たるスポーツ・インテグリティという概念を手がかりにしつつ、近時の企業経営・組織運営において重視されているガバナンスやコンプライアンスについて、そのあるべき姿を考えていきたいと思います。
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンスの他の記事
おすすめ記事
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方