新型コロナワクチンに関する情報環境はどのような状況か(写真:写真AC)

ワクチンに関する情報環境の現実

2022年2月23日の日本経済新聞に掲載された全段の意見広告が一部で話題となっている。株式会社ゆうネットが発信した「厚労省ホームページなどから『未成年接種』を考える」である。

厚労省などのオープンデータを引用し、客観的かつ論理的な分析を意識し、一般に周知されていないかたちで示し、未成年に広がるワクチン接種の個々の判断に役立てようという内容であり、筆者の過去の論考にも随所で重なる部分がある。

このような情報、意見発信は、現状の言論空間では規制されている。事実、同様の情報発信をYouTubeで発信しようものなら、軽くて広告剥がし、最悪は即刻「BAN」と呼ばれるアカウント停止、削除すらあり得る。

意見を発するだけで「反ワクチン」のレッテルが貼られてしまう環境(写真:写真AC)

確かにコロナ禍の最初の頃はワクチン接種で「人体が5Gに接続する」「宇宙人との交信がなされる」「遺伝子が組み換えられる」などの酷いデマも飛び交った。しかし、それによって「ワクチン」と語るだけで「反ワクチン」とレッテルが貼られ、報告され、内容の検証などされずに統制されるのが現状なのである。

これでは、一般人が接種の判断をするのに必要な情報が得にくい状況なのだ。

内容を問わず一律にレッテルを貼られる環境(写真:写真AC)

事実、筆者のkindleに出版した電子書籍も、最初は理由もなく出版できないと断られた。異議を唱え、政府発信などのオープンデータを元にした論考であることを説明したが、2回目も医療専門家以外の情報は取り扱い不可との回答。再度、引用したオープンデータとして、厚労省発信のデータソース、当時西浦教授がいらっしゃった北海道大学の許可を得た分析データであることを提示し、同時に医療従事者以外の同様の各種出版物の存在を提示して、ようやく出版の運びとなった。

つまり、レッテル貼りされ、無名であるがゆえに内容の確認もされなかったのである。

そのような言論環境において発信されたのが前述の意見広告なのだ。確認して見ると、同様の意見広告は2021年11月30日の西日本新聞をはじめ、順次28紙に出稿されており、およそ掲載料として2億5000万円を使ったとのことだ。

当初は地方紙を中心にし、全国紙への出稿を目指しネットでの寄付を募り、2億円もの寄付を得て実現したとのことで、今後も続けるという。高額というハードルをクリアする努力あってのものなのだ。