(株)ウイングベースが開発・販売している「防災トランプ」は、慣れ親しんだトランプ遊びをしながら防災について皆で話し合う、というユニークなコンセプトの防災ゲームだ。

カー ドの枚数は普通のトランプと同じだが、ハートやクローバーなどといった記号に加えて「リスク(危険)」、「プリベンション(予防)」、「ダメージ(被 害)」、「レジリエンス(回復力)」の4種類のマークが付けてある。また、個々のカードに「ハザード(危険の原因)」として、「大型の台風が上陸した」、 「自分の家にいる時に強いゆれが起こった」といった文章が書いてある。これらを使って普通のトランプ遊びにひと工夫を加え、ゲームの進行中に、災害に関す る体験談や注意点などについて、お互いに話す場をつくる。

例えばババ抜きであれば、順番にカードを引いていき、引いたカードの数字が手札に 含まれるカードと同じであれば、手札とペアにして2枚を場に捨てる。ここまでは普通のババ抜きと同じだが、もし捨てようとする2枚の中に「リスク」マーク が含まれていたら、そのどちらかのカードに書かれたハザード文章に関して、自分の経験や、気を付けるべきこと、対処行動などを話す。これを「防災発言」と いうが、その「防災発言」に他のプレイヤーが納得してくれたら、カードを捨てることができる(納得されなかったら手札に戻す)。つまり、防災発言がうまく できるほど早く上がれるようにルールにひと工夫を加えている。

他にも「防災スピード」、「防災ポーカー」の遊び方もあるが、基本は同じで防災発言ができると有利になるようにルールを追加している。

カー ド上のハザード文章には、大地震や津波などといった低頻度高インパクトの災害だけでなく、大雨や雷のように高頻度低インパクトの事象まで含まれている。身 近な問題から話し合う機会を、ゲームを通じて増やすことで、災害への対応力を高めることにつなげていく狙いがある。同時に、防災訓練とは何かを、一人ひと りが考え、世代を超えて楽しく話し合うための場づくりを目指している。

(了)