イメージ

 

■今回のニュース:
台風8号 伊豆諸島北部で線状降水帯が発生 安全の確保を

伊豆大島を中心に台風本体の発達した雨雲がかかり続けていて、気象庁は、午後11時前、伊豆諸島北部で線状降水帯が確認されたとして「顕著な大雨に関する情報」が発表された。

「線状降水帯」は、発達した積乱雲が次々と連なって大雨をもたらす現象で、伊豆大島では、

▽午後9時10分までの1時間におよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられるほか

▽午後10時10分までの1時間にも81.5ミリの猛烈な雨を観測した。

気象庁は、命に危険が及ぶ土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっているとして、厳重に警戒するとともに、安全を確保するよう呼びかけている。(NHK NewsWeb配信:2022年8月14日)

 

■リスクの視点:
台風や線状降水帯がもたらすリスクは水災だけではない

地球温暖化が関係していると指摘されているが、昨今の台風は大型化し、また通常の温帯低気圧がもたらす雨もしばしば「線状降水帯」などを引き起こし大きな被害をもたらしている。被害は人命や建物・機械設備・製品などに対する直接損害にとどまらない。実際、2019年の台風19号の時には、物流各社が、配送の取り止め・ドライバーへ自宅待機を指示・ハザードマップを参照し車両を移動させるなど、さまざまな対策を実施したが、それでも河川の氾濫で浸水被害が大きかった地域では、輸配送企業の配送拠点や車両の水没、停電による業務遅延や一時的に業務が行えず、その他の地域でも通常の配送ルートが利用できず迂回が必要になるなど、物流は大きな打撃を受けた。

一般に製造業では部材の一つでも欠けると生産を継続することができなくなる。水害などによる「道路の閉鎖」や「交通機関の運休」や「物流の停滞」などの影響で原材料や部品を調達できなくなることに注意しなければならない。ちなみに、ジャストインタイム方式で行う生産現場では「部材の在庫を持たない」ので「ネジ1本欠けてもラインが休止」に追い込まれることが指摘されている。

例えば、ルネサスエレクトロニクスは本年7月6日、台風4号による局地的雷雨の影響で、川尻工場(熊本市)の稼働が5日から停止した。全面復旧は11日ごろになると発表している。(時事通信社配信:2022年07月06日)

水災害の影響は海沿い・川沿いの地域に留まらない。低気圧の巨大化により高潮も以前では考えられない規模になることもある。最近、東京都では「高潮警報を内陸の目黒区と新宿区も対象にする」ことを発表している。

■リスクマネジメントとしてのポイント:
ハザードマップで準備を

工場も事務所も住宅も水害に見舞われることがある。水災の「ハザードマップ」は各自治体で準備され、ネットで公開されている。事業所などの「立地がイザという場合に何センチ・あるいは何メートルの水没地域にあるのか?」を確認しておくことは有用である。例えば、上流に豪雨があり川下の流域に立地している事業所の場合「従業員をどちらの方角に退避させるのが安全か」がわかるし、想定水没水位が1メートルなら鉄筋コンクリート造の建物であれば「2階に退避することが風雨の中で帰宅・避難するよりも安全な場合も」あることに留意したい。

その他、工場や倉庫での平素から行っておくことのできるリスクマネジメントは:
1) 土のう袋を用意する
2) 吸水性の高い掃除道具を用意する
3) 止水パネルを設置する
4) 床に物を置かないように徹底する
5) 排水設備の掃除
6) ガラスの補強

などがある。