水害復旧における感電に注意
太陽光発電設備やEV車にも注意
リスク対策.com/ 編集長

中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
2018/07/09
危機管理の要諦
リスク対策.com/ 編集長
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
地震災害では、電気のブレーカーを落としてから避難することが浸透してきているが、水害時の対応についてはあまり知られていない。
特に製造業などにおいては、電気設備を多く使っているため、水害後の復旧には細心の注意を払う必要がある。
関西電気保安協会によれば、水害時にも電気設備類が故障していれば感電の可能性があるため、停電していても分電盤のブレーカーを切ることが重要だという。洪水で電気類が濡れた状態のまま、突然、通電すると、感電や火災の危険性がある。
すでに浸水などの被害になっている場合は、ブレーカーを切る際に厚手のゴム手袋を着用したり、木の棒を使うなど、直接触らないようにすることも大切だ。
また、屋上や屋外に太陽電池発電設備を設置している場合は、浸水・破損をした場合であっても光があたれば発電をすることが可能で、このため、破損箇所等に触れた場合、感電するおそれがあるという。
復旧作業中の感電を防ぐため、太陽電池発電設備が自宅にある場合、あるいは見かけた場合には、むやみに近づかないよう、十分注意することが必要だ。
経済産業省産業保安グループ電力安全課では、2017年7月の秋田県を中心とした豪雨災害以降、水害後の太陽発電設備の取り扱いについて注意を呼び掛けている。
・太陽電池発電設備(モジュール(太陽光パネル)、架台・支持物、集電箱、パワーコンディショナー及び送電設備(キュービクル等))は、浸水している時に接近すると感電するおそれがあるので、近づかないようにしてください。
・モジュール(太陽光パネル)は、光があると発電していますので、触ると感電するおそれがあります。漂流しているモジュール(太陽光パネル)や漂着・放置されているモジュール(太陽光パネル)を復旧作業等でやむを得ず取り扱う場合には、素手は避けるようにし、感電対策(ゴム手袋、ゴム長靴の使用等)などによって感電リスクを低減してください。
・感電のおそれがある太陽電池発電設備を見かけましたら、周囲に注意を呼びかけるとともに最寄の産業保安監督部または経済産業省までお知らせいただきますようお願いします。
壊れた太陽電池パネルを処理する際には、ブルーシート等で覆い遮蔽するか、パネル面を地面に向けて、感電防止に努めて下さい。また、廃棄する際は自治体の指示に従って下さい。
・水が引いた後であっても集電箱内部やパワーコンディショナー内部に水分が残っていることも考えられます。この場合、触ると感電するおそれがありますので、復旧作業に当たっては慎重な作業等を行う等により感電防止に努めてください。
・水が引いた後であっても集電箱内部やパワーコンディショナー内部に残った湿気や汚損により、発火する可能性がありますので、復旧作業に当たっては十分な注意を払い電気火災防止に努めてください。
http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2017/07/290724-01.html
住宅だけでなく、ハイブリッド車やEV車についても注意が必要。国土交通省では、外観上問題がなさそうな状態でも、感電事故や、電気系統のショート等による車両火災が発生するおそれがあるとして、以下のように注意を呼び掛けている。
災害後は、ストレスや疲労から、注意散漫になることがあるが、二次災害に巻き込まれないよう細心の注意を払い、また、周囲にも注意を呼び掛けることが大切だ。
経済産業省が呼びかけている太陽光発電設備の注意点
危機管理の要諦の他の記事
おすすめ記事
従来のビジネストレンドが「加速」する当座をしのぐことより中長期を見すえて
緊急事態宣言の再発令で経済社会のダメージが一層深刻化、先行きも見通せないなかで企業の危機管理担当者がいま持つべき視点と取り組むべき対策は何か。感染リスクと事業継続リスクの側面から、専門家にリレーインタビューします。
2021/01/25
地域支えるモノづくり、「災害弱者」へまなざし深く
東日本大震災の被災を教訓に「医療と防災のヒトづくり・モノづくりプロジェクト」を推進する北良株式会社(岩手県北上市、笠井健社長)は、人材開発と技術開発を両輪に「災害に強い社会づくり」を本気で目指すプロジェクトを推進。その取り組みは確実に成果を上げ、社内に防災文化を築くとともに、事業活動を通じて地域へ、全国へとその波紋を広げています。「技術開発」にスポットをあてて取材しました。
2021/01/25
津波による壊滅的被害から10年
宮城県名取市で、津波により工場が壊滅的な被害に遭いながらも、被災1週間後から事業を再開させた廃油リサイクル業者のオイルプラントナトリを訪ねた。同社は、東日本大震災の直前2011年1月にBCPを策定した。津波被害は想定していなかったものの、工場にいた武田洋一社長と星野豊常務の適切な指示により全員が即座に避難し、一人も犠牲者を出さなかった。震災から約1週間後には自社の復旧作業に取り掛かり、あらかじめ決めていたBCPに基づき優先業務を復旧させた。現在のBCPへの取り組みを星野常務に聞いた。
2021/01/21