アメリカ、カナダで公用端末での使用を禁止
第20回: 北米で広がるTikTokの規制
ライアン カミムラ
英国の大学院を卒業後、新建新聞社に入社。リスク対策.comの記者、編集者を経て現在某機械メーカーの海外営業部に勤務。主にコロナ前は海外展示会や海外営業担当、コロナ後はオンラインで英語プレゼンに従事。記者時代の経験を生かし、現在も記事、イラスト、翻訳を兼業。
2023/03/28
危機管理で学ぶ英語
ライアン カミムラ
英国の大学院を卒業後、新建新聞社に入社。リスク対策.comの記者、編集者を経て現在某機械メーカーの海外営業部に勤務。主にコロナ前は海外展示会や海外営業担当、コロナ後はオンラインで英語プレゼンに従事。記者時代の経験を生かし、現在も記事、イラスト、翻訳を兼業。
世界150カ国、10億人以上の利用者がいる中国系動画投稿アプリ「TikTok」。いまやメインユーザー層が30代となって利用方法も多様化し、企業がPR動画として活用することも増えています。一方、今年2月末、ヨーロッパ先進諸国に続き、アメリカとカナダでも政府が支給する携帯端末からTik Tokを削除し、使用を禁じるように命じるなど、欧米政府機関では相次いで利用を制限する動きが広がっています。
1. The U.S. and Canada both issued orders this week banning the use of TikTok on government-issued mobile devices amid growing privacy and cybersecurity concerns about the Chinese-owned video-sharing app.
CBS NEWS, March 1st
アメリカとカナダの両国で、中国発動画共有アプリのサイバーセキュリティとプライバシーの懸念の高まりから。政府用の公用携帯電話でTikTokの使用を禁止する訓令が発せられた。
2. Since its launch in 2016, the app has grown in popularity to over 1 billion active users, including more than 100 million in the U.S. But its growth comes with concerns from federal officials and security experts that China’s Communist Party (CCP) could have unlimited access to sensitive data the company collects on Americans.
TIME, March 16th
2016年にアプリが開発されて以来、TikTokは10億人以上のアクティブユーザーを持つまでに成長した。その中には、アメリカの1億人以上の利用者も含まれる。しかし、その成長の裏で、常にアメリカ政府とセキュリティの専門家は、(TikTokの)企業がアメリカで収集した機密データに対して、中国共産党が制限なくアクセスができるという懸念がある。
3. The Biden administration is demanding that TikTok’s Chinese owners sell their stakes in the video-sharing app or face a possible U.S. ban of the app, according to people familiar with the matter.
Wall Street Journal, 16th of March
関係者によると、バイデン政権は、TikTokの中国のオーナーに対して動画シェアアプリの権利を(アメリカ企業に)売却するか、もしくはアメリカでの使用を禁止するか、差し迫った。
4. “The biggest issue is that users are largely unaware of the true risks of foreign governments using their user data,” says Anton Dahbura, executive director of Johns Hopkins University Information Security Institute. “People would be shocked about how our trails of breadcrumbs from our mobile devices and other platforms can be used in different ways that can be a threat to national security.”
TIME, March 16th
ジョンズ・ホプキンス大学情報セキュリティ研究所のアントン・ダブラ所長は「最も大きな問題は、アプリの利用者が海外の政府に自分たちのデータが使われている真の危険性に気が付かないことだ。私たちの携帯端末のプラットフォームから抜き取られる”パンくずリスト”が、どれだけ国の安全性を脅かすものとして別の形で利用されることを知ると驚くであろう」と話す。
危機管理で学ぶ英語の他の記事
おすすめ記事
なぜコンプライアンスの方向性はズレてしまったのか?
企業の不正・不祥事が発覚するたび「コンプライアンスが機能していない」といわれますが、コンプライアンス自体が弱まっているわけではなく、むしろ「うっとうしい」「窮屈だ」と、その圧力は強まっているようです。このギャップはなぜなのか。ネットコミュニケーションなどから現代社会の問題を研究する成蹊大学文学部の伊藤昌亮教授とともに考えました。
2024/10/10
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/10/08
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/10/05
ERMにおける実行性の強化
企業は、リスクに対する組織の適切な行動を管理するためにオペレーショナルリスクとコンダクトリスクといったリスクカテゴリーを設定し管理を実施していることが多い。オペレーショナルリスク管理は、過去の操業上の失敗事例を分析して同種の事例の再発を予防するための管理である。換言すれば、過去・現在の状況を踏まえ、それを将来に延長して対応するフォワードルッキングなアプローチの一種といえる。他方、コンダクトリスク管理は、将来の環境が必ずしも過去と同様ではないことも踏まえ、組織行動の特徴を理解した上で、組織行動を律する根底の部分(組織文化と表現することもある)を意識して、不測の事態を招かないための制御を行う活動といえる。
2024/09/25
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方