2018/07/20
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
アイデア2「高齢者にスマホプレゼント」
高齢者は、そんな情報を見ることができないという声ももちろんお聴きます。その反面、最近は、スマホをちゃんと使いこなしている高齢者の方にも多くお会いしています。文字が大きくできたり、ラジオも聞ける、音声認識こそ高齢者むけ!などと、使ってみたら楽しかったという方も。
ご家族が設定してあげる、お天気番組を登録しておいてあげる、自分が受信してせっせと知らせるなど、まわりが無理だと決めつけずに、使っていただけるように働きかけてみることも大事かもしれません。
毎回、災害時に高齢者に情報が届かない問題が出てくるのですが、解決方法まで議論されないのです。まずは、この夏の帰省の際にも、スマホを設定するミッションを実施ということでいかがでしょうか?常時居場所を知らせてくれるアプリもあるので、今後の介護対策としても、今、実施するのがおすすめです。
■新年度、新学期到来!家族の安否や見守り確認、最新アプリやツールの検討を♪アナログなやり方も忘れずにね♪
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5516
アイデア3「危険をイメージしやすくする」
いくら情報を得ても、なかなか自分の危険をイメージしにくいのも事実です。以前も書きましたが、
■これは逃げたくなる!100mm/時の雨の重さってどのくらい?車が水没した時、割れやすいのはどこのガラス?
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1892
講演中に「1時間に100ミリの雨だったら逃げますか?50ミリでは?30ミリは?」と聞いても、「?」という顔をされる方は多いです。なぜかというと、単位がミリなんです。かなりしょぼそうに思えますよね。そこで講演では、荒木健太郎さんが作ったイラストを紹介しています。これ、こどもたちの受けがすごくよくて。園児なんて、前まで見に来てくれたりするんです。1時間に100ミリの雨とは・・

1m×1mに、1時間に1回100キロの小ぶりな力士が1人落ちてくるのと一緒。この迫力の画像を見ると、これは逃げるべきって思ってくださる方は多くて、みなさんカメラで撮影されて情報をお持ち帰りされます。お子さんにも伝えたくなりますよね!
こちらは水の重さを力士に換算しているので、もちろん一瞬で力士たちが降ってくるわけではないですが、低地に流れ、土壌に浸透し、浸水や河川氾濫、土砂災害に結びつく、そんなことをイメージしていただければと思います。
そして講演では、1時間に50ミリで避難勧告、避難指示がでるかもしれない。でも、1時間に30ミリでも、子どもや介護が必要な方がいるなど避難に時間がかかるのであれば、早めに避難するべきとお伝えしています。
なぜなら、水の力はとても強いので人が簡単に制御できないからです。膝より深ければ体ごと流される危険があります。それ以下でも流れが早ければ、流れの速さ×2乗の力がかかる動水圧により、見た目より強い力がかかるので流されやすいからです。
■川の水難事故に、泳ぎのうまいへたは全く関係ない!? 海のアドバイスは川では使えません!川遊びのライフジャケットはシートベルトと同じくらい重要
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1917
岡山で講演した時に参加してくれた中学生がこの力士のスライドを覚えていてくれて、大雨情報を見ている最中、「力士だ!」と声をだしてくれたそうです。その家族はみなさん早めに避難してくださっていました。
アイデア4「土地のことを知る=行政ハザードマップ利用」
ただ、今回は1時間の雨量よりも、長い時間雨が降り続くことによる土砂災害や河川の氾濫、浸水が起きていました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、西日本豪雨の積算雨量図を公開した図です(上)。下は、7月1日午前9時から8日午前8時までの降水量の時間変化を表した動画。(西日本豪雨:JAXA、1~8日の降水量変化を公開(提供)出典:Youtube)
そんな時はいつ逃げるのがいいのでしょうか?
ウェザーニュースが、全国の水害想定区域と低位区域と、積算総雨量400mm以上の場所、そして、ウェザーニュース読者の方が送ってくれた被害データを重ねた資料がこちらです。
積算雨量は雨の降り始めからの量です。400ミリを越えるとハザードマップで危ないとされている地域の80%に浸水の被害があったとのことです。低い土地や川の近くでは400ミリを避難の判断にするというのもいいのかもしれません。ただし、これも土地の状況によりますよね。

この時、行政がだしているハザードマップは参考になります。みなさん、ちゃんと見ていますか?
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方