企業ガバナンスのコンサルティングを手掛けるHRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長CEO内ヶ﨑茂氏)は9月19日、主要企業の8割がシナリオ分析の実施を開示し、約半分が、取引先などを含めた二酸化炭素(CO2)の排出量を示す「スコープ3」を有価証券報告書で開示したことなどが同社調査で明らかになったと発表した。

調査は、TOPIX100 の構成企業のうち、2023 年3月31日以降の事業年度に該当する有報を調査時点で発行する企業81社を対象に、有報改正に伴う新規記載事項である「サステナビリティ」「人的資本」「コーポレート・ガバナンス(取締役会の活動状況、内部監査等)」の開示情報を分析した。

シナリオ分析やスコープ3の開示状況は、「サステナビリティ」の調査項目に盛り込まれた。それによると、気候変動に対する取組みとして、「シナリオ分析」を実施している旨の開示は 80.2%の企業でみられた(図表1)。シナリオ分析の実施を開示している企業のうち、気温上昇 1.5 度を想定してシナリオ分析を実施している旨の開示を行っている企業は 60.0%にのぼった。一方、財務インパクトを具体的な数字を用いて開示している企業は 17.2%にとどまった。シナリオ分析を実施している企業と比較して、財務インパクトを具体的な数字を用いて開示している企業は少数にとどまっている。

図1. 気候変動に対する取組み (n=81)

また、温室効果ガス(GHG)排出量の開示では、Scope3 について実績値、目標値のいずれかを開示する企業は 53.1%に達した(図表2)。ただし、実績値、目標値の両方を開示する企業は 19.8%にとどまるほか、GHG 排出量について Scope1,2,3 いずれかの実績値を開示する企業 51 社のうち、第三者保証に言及する割合は 25.5%にとどまったという。

図表2. GHG排出量の開示状況 (n=81)
 

こうしたサスティナビリティや気候変動への対応が取締役会でどの程度話し合われているかも本調査から明らかになった。

「コーポレート・ガバナンス(取締役会の活動状況、内部監査等)」の項目では、取締役会での 具体的な検討内容 について調べた結果 「 サステナビリティ 」について記載していた企業は45.7%と半数近くにのぼったものの、「気候変動」については7.4%にとどまった。

図3.取締役会での主な検討事項(n=81)