パソコン以上に危ないIoTデバイス
第51回:セキュリティの勘違い(3)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2023/11/15
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
前回までに紹介した顔認証システムであるが、これだけ便利なのだから手放しで拡大してよいかというと、留意しなければならない点が多々ある。第一は個人情報保護だろう。顔画像は個人情報として、本人の許諾の範囲での取得と利活用に限定する必要がある。この点は他の個人情報管理とともに後に詳述する。
それ以外で最も注意しなければならないのは、一般にはあまり知られていないかもしれないが、デバイスのセキュリティに関する問題である。これはIoT(Internet of Things)の世界で、あらゆるモノがネットワークにつながることで生じる。
最近の家電製品の多くはインターネットに接続され、遠隔で監視や操作などができて便利である。昔ユビキタスと呼ばれたデジタルネットワーク社会が確実に進展しているのだ。
ただ、パソコンやスマートフォンがネットワークに接続されることで、コンピュータウイルスなどサイバー攻撃の脅威にさらされ、防御策が必要になっていることは今や常識だろう。そしてIoTの世界になることで、ネットワークに接続するあらゆるモノが同様の脅威にさらされていることを知らなければならない。
顔認証を支えるデバイスである監視カメラも同様だ。オフラインのものもあるが、ネットワーク接続機種が多く、デバイス自体にシステムが搭載されているので、パソコンと同様の脆弱性対策が必要になる。
もう数年前になるが、世界的にシェアの高かった監視カメラの内部の制御システム(組込みシステムという)に脆弱性が発見され、対策が急がれたことが現実にあった。同様の脆弱性は、ネットワークに接続する複合機にも指摘されたことがある。これらは外部からある命令をネットワーク経由で送ると、監視カメラや複合機に保存されたデータが外部に配信されるような仕組みである。当時、その対象機種のバージョンを新しいものに更新する対応が必要になった。
この種の脆弱性はデバイスが導入された時に発見されることは少なく、導入後にさまざまな攻撃に晒されて発見されることが多い。パソコンであればウイルスパターンの更新を定期的に行い、ソフトのバージョンアップも定期的に行うことでリスク低減されるが、他のネットワークに接続されるデバイスでは同様の対策は困難だ。
理由は簡単である。パソコンの場合は個体数が多く、一つの対策が多くのモノに影響を及ぼすので費用対効果が得られる。しかし、個体数が比較的少なく、システムの標準化もパソコンほどではないネットワーク接続デバイスにおいては個々の対策に労力をかけることが難しく、そう簡単ではないのである。
一方、攻撃を仕掛ける側の労力としては、実はそれほど変わらない。もちろん攻撃成果は対象が多いほど可能性は広がるのだが、脆弱性を突いた攻撃を仕掛けることは同じと考えてよいだろう。そして悪意を持ったバックドアなどを仕掛られても、検出することは容易ではない。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/06/23
W杯に水を差したDAZN契約プラン表示が原因で大炎上
世界最大のスポーツイベントであるサッカーのW杯が6月12日に開幕。日本は1勝1分けで決勝トーナメント進出を大きく引き寄せている。その裏でW杯の視聴契約を巡ってSNSで大炎上していたのが、スポーツコンテンツの配信会社であるDAZNだ。W杯の全試合を視聴できる年間契約プラン表記に問題があり、13日にお詫びを発表した。しかしその対応も反感を買い、炎上は継続。最終的には年間プラン自体を取り下げた。DAZNの何が問題だったのか、消費者問題に詳しい住田 浩史弁護士に聞いた。
2026/06/23
企業の副業解禁とコンプライアンス対策を支援
企業の副業解禁の流れが加速している。従業員は本業以外の労働を増やすことで、収入増が見込める。従業員が副業で獲得したスキルで、本業への貢献も期待できる。企業側にとっても、副業は採用活動に活用できる。業務発注から関係を深めてからの転職や採用後のミスマッチを防止する効果がある。一方で、副業の一般化に伴い、同業他社での競業や情報漏えい、ブランド毀損、過重労働など、副業リスクは増加している。フクスケ(東京都千代田区)は、企業の副業制度の運用支援に加え、副業コンプライアンス向上に関するデータを分析し、リスク診断サービスも提供している。代表取締役社長の小林大介さんに、企業の副業解禁がもたらす影響について話を聞いた。
2026/06/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方