2013/09/19
防災・危機管理ニュース
災害リスク情報<号外>
インターリスク総研 コンサルティング第三部災害リスクグループ 江崎隼輝
はじめに
2013年9月2日14時過ぎ、埼玉県越谷市や千葉県野田市などにおいて竜巻被害が発生した。また、9月4日にも栃木県矢板市などにおいて竜巻とみられる突風による被害が発生した。本稿では気象庁や総務省消防庁、内閣府等が発信している情報をもとに今回の竜巻による災害の概要をまとめるとともに、「竜巻などの激しい突風」に関する説明と対策を整理する。
1.竜巻災害の概要
(1)9月2日と9月4日の気象状況
(9月2日)
関東北部に九州北部から伸びる前線が停滞しており、この前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいた。さらに、日中の地上気温の上昇も加わったことから、関東地方は大気の状態が非常に不安定となり、南北からの風がぶつかった地域で雷雨や突風を伴う発達した積乱雲が発生した。14時頃、発達した積乱雲にともない、埼玉県さいたま市、越谷市、北葛飾郡松伏町、千葉県野田市、および茨城県坂東市にかけて、竜巻が発生した。
(9月4日)
台風17号から変わった低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、大気の状態が非常に不安定となり、西日本から東日本の広い範囲で雷を伴った非常に激しい雨が降った。12時20分頃から13時頃にかけて、栃木県鹿沼市から宇都宮市において、および、塩谷郡塩谷町から矢板市において、竜巻が発生した。また、高知県や三重県においても竜巻と推定される突風が発生した。
(2)竜巻が発生した地域の一覧
気象庁の現地災害調査の速報によると、9月2日と9月4日において竜巻等の突風が発生した地域は以下の通りである。
(3)被害概要
9月2日および9月4日に発生した竜巻とみられる突風により、人的被害や家屋等への物的被害が複数の県にわたって発生した。消防庁災害対策室の発表による「平成25年9月2日からの突風及び大雨による被害状況等について(第9報)」をもとに、被害の状況を以下に掲載する。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方