名誉毀損に関する民事裁判の概要
名誉毀損を理由とする損害賠償請求訴訟について
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2024/03/07
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
新聞、テレビ、週刊誌などのマスメディアの報道等により、名誉を毀損されたとして、政治家や芸能人といった人たちが、新聞社、テレビ局、出版社などを相手方(被告)とする損害賠償請求訴訟を提起したというニュースを時折お聞きになると思います。この訴訟は、法的にいえば、不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物(裁判所に審判を求める権利・法律関係のこと)とする民事訴訟になります。
民法709条では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められており、これを根拠とする訴訟なのです。交通事故や医療過誤の被害に遭った場合なども、この民法709条を根拠に損害賠償請求を行うものであり、名誉毀損の場合も「不法行為」の一つとして位置づけられています。
名誉毀損の場合には、表現の自由との衡量の必要性があることなどから、判例等により形成されてきた法理の理解が重要となっており、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の中でも特殊な面があります。そこで、今回は名誉毀損を理由とする損害賠償請求について取り上げてご説明したいと思います。
なお、名誉毀損の場合には、損害賠償請求のみならず、民法723条に基づいて名誉回復措置(例えば、謝罪広告の掲載など)の請求や人格権(名誉権)に基づく差止請求を行うこともできますが、今回は省略させていただきます。
不法行為に基づく損害賠償請求が認められるためには、まず原告が、以下の各要件を主張・立証する必要があります。これらを「請求原因」といいます。
① 被告が原告の権利又は法律上保護される利益を侵害したこと
② ①についての被告の故意又は過失
③ 損害の発生及び額
④ ①と③との間の因果関係
名誉毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟における各要件については、下表のとおりとなります。
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/03/31
ドンロー主義の顕在化に揺れる世界
アメリカとイスラエルが2月28日、イランへ大規模な軍事作戦を開始。イランは徹底抗戦する構えで、中東全体を巻き込む紛争に発展しました。早期停戦が待たれるも、長期化の可能性も依然濃厚。アメリカ政治に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏に、トランプ政権の思惑と今後の軍事行動に影響を与える要因を聞きました。(インタビューは3月16日)
2026/03/30
引き合い急増する「セキュリティソムリエ」
ソフトバンクのグループ企業でIT商社のSB C&Sは2021年から、サイバーセキュリティ市場の多様化に対応するため販売パートナーへの支援活動を展開。商社の情報力・目利き力を生かしてSIerやベンダーの提案力を補強し、その先のユーザー企業へ最適なソリューションを届けています。「セキュリティソムリエ」と銘打った活動のねらいを聞きました。
2026/03/30
火事・水害の被災設備に復旧という選択肢
災害復旧専門サービスのベルフォアジャパンは昨年、独自営業による顧客開拓に乗り出しました。これまでは共同出資者の東京海上日動火災保険を窓口としてきましたが、体制変更を機に直接の市場アプローチを開始。BCPの実効性を確保する手段として自社のサービスを訴求する考えです。代表取締役社長の加藤道久氏に今後の市場戦略を聞きました。
2026/03/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方