仕掛けと工夫がなければ舞台はまわらない
第7回:設備マシマシ「ぜんぶ乗せ」対策本部

荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
2024/03/08
ざんねんなBCPあるある―原因と対処
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
BCPで規定した計画と現実との間のギャップを抽出し、多くの企業に共通の「あるある」として紹介、食い違いが生じる原因と対処を考える本連載。第2章では「BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コスト」のなかに潜む「あるある」を論じています。前回に続き、今回もBCPの実効性に関連して初動・災害対策本部の「あるある」を取り上げます。
①初動・災害対策本部
・設備マシマシ「ぜんぶ乗せ」災害対策本部(大手・製造業・総務部門)
広い会議室の中心にデスクが楕円形に並べられ、周りにもたくさんのデスクが整然と並べられています。それぞれのデスクにはマイクとコンセント。有線無線どちらでも使えるネットワーク。テレビのニュースを映写するという大画面モニターが四方に据えられ、近未来感あふれる、まさに指令室。
ほかにも何点か質問しましたが、細かいところにも考慮が行き渡っている様子がうかがえました。
「参集訓練のときに社長が履く靴は、軽くて歩きやすいウォーキングシューズではなく、ガラスの破片などを踏んでしまっても怪我をしないよう、安全靴がいいので訓練のときに履いていただいて慣れておいた方がいいですよ」と申し上げましたが、そんなことはきっと考慮済みでしょう。
この事例で高く評価できるポイントは2つあります。一つは、定期的な参集訓練を通じてモチベーションを高めていること。もう一つは、電力が供給されなくなった場合の手立てが確立されていること。しかし、立派な設備の数々と近未来感あふれる会議室は、この話の本質ではありません。
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