体裁だけ整えても歯車がかみ合わなければ舞台はまわらない(イメージ:写真AC)

BCPで規定した計画と現実との間のギャップを抽出し、多くの企業に共通の「あるある」として紹介、食い違いが生じる原因と対処を考える本連載。第2章では「BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コスト」のなかに潜む「あるある」を論じています。前回に続き、今回もBCPの実効性に関連して初動・災害対策本部の「あるある」を取り上げます。

第2章
BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コストの「あるある」

(5)BCPの実効性

①初動・災害対策本部
・設備マシマシ「ぜんぶ乗せ」災害対策本部(大手・製造業・総務部門)

近未来感あふれる会議室(イメージ:写真AC)

広い会議室の中心にデスクが楕円形に並べられ、周りにもたくさんのデスクが整然と並べられています。それぞれのデスクにはマイクとコンセント。有線無線どちらでも使えるネットワーク。テレビのニュースを映写するという大画面モニターが四方に据えられ、近未来感あふれる、まさに指令室。

担当者「この部屋で災害対策本部を立ち上げます」

「すごい設備ですね」

担当者「けっこうな人数になりますので」

「ここには、どんな人が集まるのですか?」

担当者「ここに参集するのは社長をはじめ役員、執行役員、本社各部の正副部門長、危機管理室、本社総務部。子会社と各拠点の代表はテレビ会議で参加します。社長には、年に1回は歩いて出勤していただく参集訓練をしていただいていますし、無理のない範囲で社員も行っています」

「ちなみに停電の時にはどうなるんですか」

担当者「自家発電装置に切り替わります。この部屋には優先的に給電されます。自家発電装置の燃油の備蓄は〇時間分あります」

ほかにも何点か質問しましたが、細かいところにも考慮が行き渡っている様子がうかがえました。

「参集訓練のときに社長が履く靴は、軽くて歩きやすいウォーキングシューズではなく、ガラスの破片などを踏んでしまっても怪我をしないよう、安全靴がいいので訓練のときに履いていただいて慣れておいた方がいいですよ」と申し上げましたが、そんなことはきっと考慮済みでしょう。

この事例で高く評価できるポイントは2つあります。一つは、定期的な参集訓練を通じてモチベーションを高めていること。もう一つは、電力が供給されなくなった場合の手立てが確立されていること。しかし、立派な設備の数々と近未来感あふれる会議室は、この話の本質ではありません。