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大手コンサルティング会社のKPMGコンサルティングは6月11日、企業のレジリエンスやBCPなどの取り組みを調査した「レジリエンスサーベイ2024」を発表した。国内の上場企業などを対象にした同様の調査としては10年ぶりの実施。地政学や人権侵害などのエマージングリスクや金融業界がリードしているオペレーショナル・レジリエンス関連も加わった。アンケートを依頼した約4000社のうち、176社から有効回答を得た。

10年ぶりの調査

足立 桂輔 氏

同社執行役員の足立桂輔氏は10年の変化を「レジリエンスの追求が企業戦略そのもととして位置づけられるようになった」と語った。

調査では約88%の企業がBCPを策定していると回答。10年前と比較すると10%を超えて上昇した。策定の理由には「顧客からの要望」を挙げる企業が56%に及んだ。

一方、海外拠点のBCPとなると取り組みは低くなった。着手できている企業は28%。必要性は78%が感じているが、半数は着手できていない。課題には本社としてどこまで統括するのか不明確な状態が最も高かった。

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インシデントが発生した際の損失額は、約半数が1000万円以上を挙げた。損失の原因は新型コロナウイルスや情報システム障害、風水害など。事業が中断した期間は1日未満が最も多く、1週間から1カ月未満が続いた。

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訓練では、初動訓練は精力的だが、事業継続に関連する訓練がなされていないことが浮き彫りに。前者の安否確認や避難訓練などは高いが、後者のバックアップシステムへの切り替えや暫定対応手順に基づく業務実施訓練のような事業継続関連は半数にも至っていなかった。

 

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注目度が高まっているエマージングリスクである地政学リスクや人権侵害リスクは、60%以上の企業がBCPで対応すべきリスクと認識しているものの、実際に対策済みなのは約10%にとどまった。

 

土谷 豪 氏

同社アソシエイトパートナーの土谷豪氏は、この10年でBCPの複雑性が高まったとして「例えば、リモート勤務。これが当たり前になった結果、個人が会社に抱くロイヤリティに懸念が出ている。だからこそ従業員ひとりひとりにBCPは重要だと訴えることが、今、必要になっている」と語った。