2014/03/24
防災・危機管理ニュース
災害時には自衛隊や消防、医療機関などの前線基地に
NEXCO東日本が運営する常磐自動車道守谷サービスエリア(以下、SA)上り線(茨城県守谷市)に、全国初の防災拠点機能を持った道ナカ商業施設「Pasar(パサール)守谷」が3月19日オープンした。守谷SAは茨城県から首都圏エリアに入るための最後のSA。首都直下地震が発生し都心が被災した場合に、自衛隊や消防、医療機関などの緊急出動機関が情報共有できる前線基地として活用できるという。
SAで初の試みとして、商業施設内のフードコートにある机などのレイアウトを変更可能にし、災害時には災害対策室として使用できるようにした。キッズスペースや大型テーブルを可動式にし、ベンチシート内には電源やLANポートを収納するなど、対策室の設立を考慮した設計を施した。通常は渋滞情報を表示するモニターも災害情報を映し出せるようにし、災害時の情報共有を図る。
災害時の停電や断水などに対する対策も整えた。自家発電設備と太陽光パネルを設置し、停電時でも電源の72時間連続使用を可能にした。新しく整備した井戸水は普段はトイレの洗浄などの生活用水に使用されているが、将来的にはろ過器を設置して飲料水としても活用できるようにするという。自衛隊や医療機関を受け入れるため、ヘリポートも400平方メートルから900平方メートルに拡張。中型ヘリの離着陸を可能にし、夜間照明設備も整えた。被災時にSAから出られなくなった利用客などの帰宅困難者や周辺住民に対しては、近隣の避難所へ誘導できる一時避難所としての役割も果たせるようにした。
同社は2012年6月に防災拠点化検討委員会を設立し、その後防災拠点化実証訓練や図上訓練を実施してきた。守谷SAは防災拠点のモデルケースだが、「今後は地域や国の関係機関と調整し、必要であれば他の拠点への展開も検討していきたい」(同社関東支社広報課)としている。
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