2014/06/10
防災・危機管理ニュース
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④運転管理
a)プロセスの危険性、運転条件、運転限界とその制御に関する情報を整理し、最新情報を常に利用できるように管理しておく。
b)上記の情報に基づき、プラント、プロセス、設備・機器及び貯蔵施設を安全に設計及び運転できるように、運転手順書を作成する。手順書には、特に以下のものを含むことが重要である。
・試運転
・スタートアップ及び通常のシャットダウン
・定常運転におけるすべての運転フェーズ(試験、メンテナンス、検査を含む)
・通常運転状態から逸脱した際の検知方法及び対応
・一時的又は特別な状況での運転対応
・メンテナンス作業中の運転対応
・緊急時の運転対応
・設備停止措置、解体・廃棄
c)運転に関する手順書、指示書およ及びび運転方法は、それらを使用する者と共同で作成し、その使用者にわかりやすい表現としなければならない。また、これらの手順書が確実に実行されるようにし、必要な教育訓練を実施しなければならない。
d)手順書など関連文書は、直接的、間接的にかかわらず、運転に関係する全てのスタッフ(状況によりメンテナンススタッフ等も)が利用できるようにしなければならない。また、それら関連文書は最新かつ正確にすること、及び確実に遵守されるように、定期的に見直しを行わなければならない。
⑤変更管理
a)重大事故防止のための各種対策・活動に影響を与える可能性のある全ての変更(例えば、人員、プラント、プロセス及びその運転条件、原材料、仕様設備・機器、手順書、ソフトウェア、設計条件又は外部要因など)について、管理する手順を作成し、実行する。
b)変更管理には、永久的な変更、一時的な変更及び緊急の運転変更を含まなければならない。また、下記の項目について実施しなければならない。
・変更の定義
・変更開始の責任及び権限の割当て
・提案された変更とその実行に関する確認と記録
・提案された変更の安全性に関する事項の確認と分析(状況に応じて)
・運転手順書の必要な見直し・変更
・適切な安全対策(必要な情報の周知徹底と教育訓練を含む)の明確化、説明、文書化、実行
・変更後の適切なレビュー手順、レビューによる是正処置の方法、変更後のモニタリングの明確化と実行
⑥緊急時対応計画
a)緊急時対応計画を策定し、訓練などを通じて検証し、必要に応じて見直し、修正する手順を定めなければならない。また、緊急時対応計画の策定には、理論的な知識と実務的な経験を基に検討できる体制を整えておくことが必要である。更に、その検討に当たって必要とする技能と能力を明確にしておかなければならない。
b)一連のリスクアセスメント作業から、事業活動そのもの、または事業活動と関連した事項から予測可能な緊急事態を想定する手順を策定し、維持しなければならない。また、これらの想定結果を記録し、最新版とする手順を策定し、維持しなければならない。
c)想定した緊急事態を基に策定した対応計画は、定期的に訓練を実施し、訓練結果に基づき見直しを行うことが極めて重要である。また、緊急時に影響を受ける可能性のある関係者への連絡体制などのコミュニケーション方法・手段を周知しておく必要がある。
⑦パフォーマンス測定
a)安全パフォーマンス(Safety Performance)は測定することができ、安全目標と比較できるものでなければならない。これには以下に関する確認方法を含むこと。
・計画と目的の達成状況
・事故発生前のリスク管理手段の実行度合い(能動的モニタリング)
・事故原因の報告及び調査状況(受動的モニタリング)
b)能動的モニタリングには、安全上重要なプラント、設備・機器、計装の検査と、教育訓練及び安全作業要領の遵守状況の評価を含まなければならない。
c)受動的モニタリングには、事故報告を効果的に行う仕組みが求められる。また、直接原因だけでなく、事故に結びつく元となった要因を特定する調査体制が求められる。受動的モニタリングは、安全対策の機能不全(運転上及び管理上の不全を含む)に特に注意を払い、事故の教訓を今後の操業に活用できるような調査、分析、フォローアップ(関係者への情報伝達を含む)体制を含まなければならない。
d)安全管理システムの要求事項が遵守されていなかった場合には、その状況の調査と改善活動について責任の所在を明確にしなければならない。遵守されていない状況の再発を防止するために、必要により手順又はシステムの見直し、改善を行わなければならない。安全管理に関する各種活動の具体的な実施状況(パフォーマンスモニタリング)は、監査及びマネジメントレビューに対する重要な情報となる。
⑧監査とマネジメントレビュー
a)監査は、事業所の各組織の活動、各種手続き、手順などが、安全管理システムの各項目と整合しているかを確認することを目的としている。監査は客観的な評価が求められるため、被監査部署から十分独立した者によって実施されることが望まれる。
b)安全管理システムの定期的な監査は、日常のパフォーマンス測定に加え、実施されなければならない。監査により、安全管理システムの全体的な実施状況が、事業所内外を含めた利害関係者からの要求に適合しているかどうかを把握することができる。監査結果は、安全管理システムの各項目及びその実行状況に、どのような改善が必要かを決定するために利用することができる。
c)マネジメントレビューは、安全管理システムが会社・事業所の方針と目的を遂行するために、適切であるかを根本的に検討するものである。場合によっては、方針と目的自体を修正すべきかを検討しなければならない。
d)経営層は、重大事故防止のための安全方針と戦略、並びに安全管理システム全般にわたって、不整合がないようにするために、適切な間隔でレビューをしなければならない。マネジメントレビューにおいては、安全管理システムを実行するためのリソースの配分について再検討し、必要に応じて、組織面、技術面及び規程基準類について見直し、変更する必要がある。
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