インストラクター4人を招き実演

サービス介助士や認知症介助士、防災介助士など「介助」に関する資格制度を展開する公益財団法人日本ケアフィット共育機構(畑中稔代表理事)は6月24日、米国の自主防災組織(CERT:Community Emergency Response Team)訓練インストラクターらを招き、米国で標準化されている市民参加型訓練プログラムを学ぶセミナーを開催した。

米国では、ハリケーンや竜巻、テロなど、国内のあらゆる災害に備えるために自主防災組織(CERT)が各地で組織されており、発災後、市民自らが速やかに活動できるよう米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)のもと、標準化された訓練プログラムが整備されている。

本セミナーは、米国における訓練を参考に、日本版の自主防災プログラムの作成と実践可能なモデルを構築してくことを目的に開催。企業の防災担当者、介助士ら約100人が参加した。

セミナーでは、インディアナ国土安全保障局市民団プログラムマネージャーのアラン・スコット氏が、米国におけるCERT訓練プログラムの開発の経緯や、これまでの災害における効果を説明。続いて、南中央インディアナ・ブルーミングトン消防局隊長のスティーブン・クーバー氏が、災害対応における市民の力の必要性について解説。クーパー氏は、「災害においてまず助けなくてはいけない人は、救助の情報が届かず、助けも求められずにいる人。こうしたニーズを可能な限り吸い上げ、効果的に資源を投入していくには、現場の市民の力が不可欠」と語った。

写真を拡大災害対応における市民の力の必要性について解説するクーバー氏

さらに、学校臨床心理士のラクェル・スミス氏が学校教育における防災や危機管理学習の導入の必要性について解説。最後に、自ら人材教育の会社を営むレイチェル・アンダーソン氏が、地域に効果的に自主防災組織を作っていくための手法について解説した。

レイチェル氏は、「自主防災組織を作っていくステップとして最初にやらなくてはいけないことは、各地域の自然環境、街並みなどを分析し、ニーズを正しく把握すること。その上で、一緒に取り組んでくれる機関を探し、市民への広報活動を行う。一方、教えるためにどのような教材が使えるのかリソースについても見極め、あとは様々なスキルを持った地域の人材をうまく活用していくことが重要」と述べた。

講演後は、被災建築物での捜査状況などを記す「マーキング訓練」、消火訓練、搬送訓練、救出訓練などのデモンストレーションが行われ、参加者は各訓練に参加し、講師との交流を深めていた。

写真を拡大搬送訓練の様子
写真を拡大建築物のマーキング訓練の様子
写真を拡大救出訓練の様子