2024/11/27
防災・危機管理ニュース
海洋プラスチック汚染への対策を講じるのに当たって、どの陸域から海に流出しているのか、どの海域にどれくらい漂っているのかといった実態把握が欠かせない。しかし、途上国を中心に調査体制は十分ではなく、各国が連携したデータの整備が課題だ。日本の環境省は、国際的なデータベース「AOMI(アオミ)」を構築し、この分野での貢献を目指している。
AOMIは、2019年の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)でまとまった「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に基づいて整備。今年5月に運用が開始された。国内外の政府、研究機関、研究者らから提供されたデータを基に登録している。
専用のウェブサイトでは、調査地点や微細なプラ粒子の密度が地図上に可視化されている。各国の政策決定に活用されたり、一般市民の問題意識の醸成につなげたりすることが期待されている。
ただ、AOMIに登録されているデータがカバーしているのは、運用開始段階で世界全体の海域の8%にとどまる。欧米のデータベースと連携することも検討しているが、プラ流出量が多いアジアに面するインド洋や太平洋、アフリカの周辺で調査体制をどう整えるかが課題だ。
環境省担当者は「対策の効果を測るには経年変化を見る必要がある。地図上で空白となっている地点でのデータを増やしたい」と話している。
〔写真説明〕海洋に漂う微細なプラの調査地点分布図(「AOMI」のウェブサイトより)
(ニュース提供元:時事通信社)

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