2025/01/04
防災・危機管理ニュース
国土交通省は、自治体が持つ行政情報を掛け合わせて、区域内にある建物が空き家かどうかを判定するシステムを開発している。水道使用量や住民基本台帳、登記簿といった情報を使って、建物が無人である確率を人工知能(AI)で算出。例えば、水の使用が非常に少なく、住人が高齢者1人だけの古い木造住宅である場合、空き家の確率が高いと表示される。外観だけでは判別しにくい空き家もあるため、早期に発見して売買・賃貸利用につなげたり、倒壊する前に解体したりするのが狙い。
住基台帳からは世帯の人数や年齢、登記簿からは物件の築年数や構造が分かる。国交省のシステムでは、こうした住居に関連したデータを掛け合わせることで、空き家の確率を分析する。公的な機関が保有する情報だけではなく、電力会社から提供された電気の使用状況一覧なども組み合わせて精度を上げる。
分析結果は、デジタル地図上に物件ごとにパーセント(%)で示される。国交省は将来的にシステムを無料公開し、全国の自治体に活用してもらう考えだ。それに先立ち、今月から2市で実証を始め、システムが正しく稼働するか確かめる。
総務省によると、2023年10月時点で、使用目的のない空き家は385万戸に及ぶ。放置して荒廃が進めば倒壊の恐れがあり、防犯上の問題や周囲の環境悪化も引き起こしかねない。
そこで国交省は、管理状態の良い空き家は不動産市場に流通させ、利用を進める考え。空き家は取引価格が低いため仲介手数料も安く、不動産業者が取り扱いを敬遠しがちだったため、同省は24年7月、空き家の仲介手数料の上限額を引き上げた。
一方、倒壊の危険性が高い空き家や管理状態が悪い空き家については、市町村が持ち主に修繕を勧告したり、本人に代わって解体したりできる仕組みを設けている。23年度までの9年間で19.3万件が修繕、解体された。
〔写真説明〕空き家判定システムのデモ画面(国土交通省提供)
〔写真説明〕空き家判定システムについて説明する国土交通省職員=2024年12月23日、同省
(ニュース提供元:時事通信社)


- keyword
- AI
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方