2025/02/01
防災・危機管理ニュース
未確認飛行物体(UFO)を巡る動きが近年、国内外で活発化している。米国では目撃情報などの分析を行う専門機関が設置されており、同様の取り組みを日本政府に求める超党派の議員連盟が昨年発足。専門家は「社会の不安感の反映では」と指摘するが、UFOを町おこしに活用している自治体では、ブームの再来に期待が高まっている。
米政府は幅広く「未確認異常現象」(UAP)と位置付け、専門機関を設立して調査・分析を進めている。1月に就任したトランプ米大統領は選挙期間中、人気ポッドキャスト番組でのインタビューでUAPに関する情報公開について問われ、「そうしなければならない」と強調した。
日本でも昨年6月、超党派の国会議員が「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」を発足させた。通称「UFO議連」では、UAPを扱う国内機関を設置し、米側と連携するよう政府に求めている。発起人には石破茂首相も名を連ねた。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の元広報部員で惑星科学者の寺薗淳也さん(57)は、こうした動きについて「世の中の不安の表れ」と分析する。東西冷戦が激化した1950年代にUFOがブームになった。近年もロシアのウクライナ侵攻や中東での軍事衝突、中国からの気球飛来などがあり、「何かが飛んでくるという緊張感があるのではないか」と話す。
「UFOの町」として知られる石川県羽咋市にある宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」は昨年の能登半島地震で被害を受け、入館者数が半減した。しかし、UFOと農業を組み合わせた8月のイベントには約2000人が参加。同館の営業主任高野誠明さん(35)は「宇宙への関心が高まれば、施設をもっと知ってもらえる。今年は能登に明るい話題が飛び込むといい」と期待する。
目撃情報が多く、92年に「UFOふれあい館」がオープンした福島市飯野町では、米国での動きを受けて2021年に全国初のUFO研究所を開設。昨年11月には3回目の「UFOフェスティバル」を開催し、人口5000人の町に、宇宙人の仮装をした約4000人が集まった。
研究所では写真など千数百点の情報が寄せられているという。ふれあい館の菅野利男館長(74)は「UFOとは究極的には何なのか、解明を待っている」と国内外の動きを見守っている。
〔写真説明〕米国防総省が2020年4月27日公開した、海軍機パイロットが撮影した不審な飛行物体の映像
〔写真説明〕宇宙人などに仮装した人でにぎわった福島市飯野町のUFOフェスティバル=2024年11月9日
(ニュース提供元:時事通信社)


- keyword
- UFO
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方