2025/02/09
防災・危機管理ニュース
能登半島地震で全半壊した建物の公費解体の申請数が増え続けている。被害を受けた家屋には古民家が多く、解体が進めば地域の景観や文化的価値が損なわれかねないとの懸念が広がる。石川県は、修理して住み続けることや宿泊施設などへの活用を検討してもらおうと支援を始めた。
県内の公費解体の申請数は1月末時点で3万6304棟に上る。県は昨年8月の段階で解体数を3万2410棟と見込んでいたが、今年1月に3万9235棟に修正。10月の作業完了を目指している。
被災した家屋の住民からは「誰も住まない家を子に残すより、公費で更地にしてほしい」との声が上がる。住居の再建を支援する団体の関係者によると、能登半島には木造の大きな家屋が多く、修理に高い費用がかかる。「住民にとっては『解体した方が得』と映りやすい」という。
輪島市白米町で1月、建築士らのグループと県、住民が意見交換会を開いた。建築士らが文化的価値のある古民家の解体を急がないよう求めると、区長の白尾友一さん(61)は「公費で解体できるなら解体するつもりでいた。具体的な道筋が分かれば活用も考える」と応じた。
県は昨年12月、被災家屋の修理・活用などについて、建築士らによる無料相談や調査の支援を始めた。政府にも支援策を講じるよう求めている。
全壊や半壊と判定されても修理すれば住み続けられる家屋はあるという。県は、いったん解体を申請しても申し出があれば留保できると説明。馳浩知事は「修繕して住めるなら住みたい、宿泊所として使いたいという声もある。その選択肢をぜひ提示したい」と話している。
〔写真説明〕一部は公費解体が予定されている被災古民家=1日、石川県輪島市
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/21
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
-
-
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方