2018/09/18
安心、それが最大の敵だ
伝達手段別の注意事項
あらかじめ、全ての伝達手段について、その手順を確認し、確実に伝達されるかの訓練も実施すべきである。さらに、人口や面積の規模が大きい市町村において、夜間や早朝に突発的局地的豪雨が発生した場合、プッシュ型手段による避難勧告等について、必要なエリアに伝達することが有効であると考えられる。同報系防災行政無線やIP 告知放送等については、市町村単位よりもエリアを限定して情報伝達できるものもあることから、地域の実情に応じて、その有効性や運用上の課題等を考慮した上で、プッシュ型手段の提供範囲等を検討することが望ましい。
<テレビ放送(ケーブルテレビを含む)>
テレビ放送は、避難勧告等の速報性の高い情報がテロップ(文字情報)により迅速に発信され、繰り返し呼びかけられるなど、避難行動に結びつきやすい伝達手段であるが、停電に弱い上、既に被害が発生した地域の情報が放送される場合が多く、これから避難が必要な地域の居住者・施設管理者等に対し、必要性が適切に伝わらない場合もある。また、特定の市町村や地域を対象とした詳細な情報伝達を繰り返し放送することが難しい場合も多い。このような短所を補うために、テレビのデータ放送を活用することも考えられる。
ケーブルテレビは、契約者に対して特定の地域の詳細な情報を伝達することができるが、有線設備であり、断線対策、停電対策が課題である。
<ラジオ放送(コミュニティFM を含む)>
ラジオは、携帯性に優れ、停電時でも電池があれば受信可能であるが、一般的に、テレビに比べてラジオの聴取率は低いことから、ラジオのみによって地域全体に緊急の情報伝達を行うのはやや困難である。
<市町村防災行政無線(同報系)>
防災行政無線は、自営網であるため一般的に耐災害性が高く、市町村が地域の居住者・施設管理者等に直接的に情報を伝えることができる手段であるが、屋外拡声器から伝達する場合は、大雨で音がかき消されたりすることがあるように、気象条件、設置場所、建物構造等によっては情報伝達が難しく、テレビ、ラジオ、メール等よりも伝達できる情報量は限られる。なお、屋外拡声器からの放送内容が聞き取りにくかった場合に、電話をかけることで放送内容を確認することができるテレフォンサービスを導入している場合もある。また、戸別受信機は、屋内で情報を受信することから、端末を設置している世帯により確実に情報を伝達できるが、都市部では、人口が多く全世帯への戸別受信機の配備は困難であり、屋外拡声器で対応せざるを得ない場合が多い。
<広報車、消防団による広報>
広報車は、避難勧告等を呼びかける地域を実際に巡回して直接伝達するため、現地状況に応じた顔が見える関係での避難の呼びかけができるが、対象地域へのアクセスルートが限られる場合や、その周辺一帯が浸水等の被害を受けている場合は、対象地域を巡回できないことがある。また、災害対応中に確保できる人員や車両が限られている場合は、直ちに全ての対象地域を巡回できない場合もある。
<電話、FAX、登録制メール>
固定電話、FAX、携帯電話(メールを含む)による情報伝達は、対象者に直接情報を伝えるため、確実性が高いといった利点があるが、停電に弱い上、電話による避難勧告等の情報伝達では、輻輳により繋がりにくい場合がある、電話番号が分かる相手にしか連絡が取れない、同時に複数の相手に連絡することができないといった課題がある。したがって、市町村は、電話を用いる場合は、自治会長等の限られた人に連絡するような仕組を構築しておく必要がある。一方、FAX やメールは、あらかじめ一斉送信を行う者を決め、連絡先を登録しておけば、一定程度の対象者に直接情報を伝えることができる。
<消防団、警察、自主防災組織、近隣の居住者等による直接的な声掛け>
直接的な声かけは、対象者に直接情報を伝えることができるため、確実性が高いといった利点があるが、訓練や地域連携等を通じて、いざというときに声掛けがしやすい雰囲気を地域コミュニティ内で醸成しておくことが望ましい。
内閣府作成の「ガイドライン」の指摘は正鵠を射ている。問題は、指摘が実践に役立てられるかどうか、いつにして、ここにかかっている。
謝辞:内閣府「避難勧告等に関するガイドライン」や国土交通省・国総研関連文献から引用させていただいた。感謝いたしたい。
(つづく)
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