【ソウル時事】トランプ米政権による高関税政策を巡る米韓交渉が長期化している。韓国が約束した巨額の対米投資について意見の隔たりが残っており、米国は日本製自動車への関税を15%に引き下げた一方、韓国車には依然25%を課している。
 米韓は7月末、相互関税の15%への引き下げで大筋合意。韓国は総額3500億ドル(約53兆円)の対米投資を約束し、造船分野に最大1500億ドル、残りは人工知能(AI)など米国の戦略産業に充てるとした。
 しかし、合意文書の作成過程で、現金による直接投資の割合などを巡って交渉が難航。韓国は直接投資を5%水準に抑え、大部分を融資や保証としたい考えだったが、米国は直接投資の割合引き上げを要求した。また、トランプ大統領は投資の「前払い」に言及した。
 韓国政府は、短期間に巨額の外貨が流出すれば、通貨危機を招く恐れがあるとして、危機時に外貨を融通する通貨スワップの締結を米国に求めた。李在明大統領は「スワップなしに全額現金で投資すれば、1997年の金融危機のようになりかねない」と訴えたが、米国は締結に否定的とされる。
 韓国メディアによると、韓国政府は年間150億ドル程度を10年にわたり直接投資する案を提示。一方で、米側は8年間で年250億ドルの直接投資を要求している。
 トランプ氏は今月29日に韓国・慶州を訪れ、李氏と会談する予定。金正官産業通商相らがたびたび訪米し、こう着状態の打開を目指しているが、金氏は24日、直接投資の水準を巡って「(米韓が)対立している」と説明した。トランプ氏は「妥結に近い」と期待を表明。一方、李氏は「もう少し時間がかかる」と慎重な姿勢を示している。 
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)と韓国の李在明大統領(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)