2018/11/22
ニュープロダクツ
大和ハウス工業グループのマンション管理会社である大和ライフネクストは、マンションの建物と住民の高齢化リスクをテーマにした「-築30年からの-あなたのマンションの将来を設計する本」を11月に刊行。管理組合などに配布する。22日にはマンション管理士で同社ゼネラルマネージャーの丸山肇氏が東京都江東区の東京ビッグサイトで開催の「第2回 団地マンションリノベーション総合展」で講演した。
同書では日本のマンションが2030年には平均築年数が31.6年と30年を超えること、今から10年後には720万戸のうち半分弱の350万戸は築30年以上になるという、建物自体の高経年を指摘。また、住民も高齢化が進み、2025年には区分所有者の世帯主の71.2%は60歳以上になると見込んでいる。若い世代が入居せず、高齢の所有者が亡くなるなどして空き家が増えるといったリスクがあることを紹介している。
そのうえで長期修繕計画のほとんどが一回りする築30年をめどに、マンションの将来設計を考えるべきとしている。本格的な再生による長寿命化、建て替え、更地一括売却のいずれを目指すにせよ立地や解体コスト、建て替え時の容積率や価値向上といったマンションのポテンシャルと、合意形成などで必要なコミュニティのポテンシャルの重要性を説いている。また、建て替えや再生の成功事例も掲載している。
22日の講演で丸山氏は「住民が高齢化し、しかも永住志向が強まっている。そういった住民の死後、相続もされなかったら空き家となり管理費もとれないといった事態にもなる」と指摘。2016年にニッセイ基礎研究所が発表したマンションの空き家率において、東京都でも世田谷区が12.8%にのぼったことも紹介し、「人が住まないと建物の死にもつながる」と述べ、若い世代が入居し、次世代につないでいくことがマンションの持続可能性につながっていくとした。
そのためにも若い世代が住みたいと思える価値づくりの重要性を指摘。特に築30年を過ぎたら60年目も意識し、長寿命化、建て替え、更地の売却という選択について住民みんなで考えて、コミュニティのポテンシャルを引き出していく努力の必要性などを語った。建て替えについては区分所有者の5分の4、更地化して売却は被災マンション法適用時を除き全員の賛成が必要となり、非常にハードルが高くコミュニティの結束が欠かせない。
大和ライフネクストでは「-築30年からの-あなたのマンションの将来を設計する本」を無料で配布する。問い合わせ先は電話0120-54-4068で平日午前9時~午後6時まで受け付け。また近く、「マンションゲンキLABO」と題したマンション管理の有識者や実務者が発信していくサイトを開設する予定としている。
(了)
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com:斯波 祐介
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方