第1回 リスクコストで見えるアメリカと日本の違い
リスクマネジメントが普及しない本質的な問題

眞崎 達二朗
眞崎リスクマネジメント研究所代表、GRC ジャパン株式会社顧問。コンサルビューション株式会社顧問。株式会社ニチオン顧問。京大法学部卒。1957 年住友銀行入行。本店支配人などを経て、同行退職後、山之内製薬株式会社役員、銀泉株式会社役員など歴任。05年6 月中小企業庁「中小企業BCP 策定運用指針」作成プロジェクトの有識者会議メンバー。
2012/01/25
リスクマネジメントの本質
眞崎 達二朗
眞崎リスクマネジメント研究所代表、GRC ジャパン株式会社顧問。コンサルビューション株式会社顧問。株式会社ニチオン顧問。京大法学部卒。1957 年住友銀行入行。本店支配人などを経て、同行退職後、山之内製薬株式会社役員、銀泉株式会社役員など歴任。05年6 月中小企業庁「中小企業BCP 策定運用指針」作成プロジェクトの有識者会議メンバー。
1. アメリカにおけるリスクマネジメントの発展
アメリカにおけるリスクマネジメントは、企業が損害保険を掛けるにあたり、いかに有利に損害保険を購入するかという視点で生まれ育ってきています。
日本と異なり欧米では、保険ブローカーが企業と保険会社の間に立って損害保険契約の締結をサポート(契約の媒介)することが主流になっています。
保険ブローカーとは「保険契約者と保険会社の間に立って、契約者のために最適な保険契約の締結の実現に向けて尽力する者」とされています。損害保険ブローカーと代理店の立場の違い会社は損害保険の引受けを行うだけです。
また、アメリカでは損害保険の保険料は企業や業界のリスクの発生状況によって大きく変動します。企業の損害保険の担当者は、現在の保険料水準 が低ければ、なるべく自社のリスクを損害保険に転嫁します。つまり、 保険をなるべく多く買うことで、 保険によってカバーされるリスクの範囲を広げるわけです。逆に、保険料水準が高い時期には、自社のリスクを損害保険に転嫁する割合をなるべく低くして、残余のリスクは自社で保有します。言い換えれ ば、保険にかける費用を低く抑えるかわりに、保険でカバーされる範囲も狭めるということです。ただし、それだけでは保険でカバーされていないリスク が現実に起きた場合の損失による影響が大きくなっ てしまうため、リスクマネジメントを徹底して、自社で保有しているリスクの発生を可能な限り軽減し ようとします。
リスクマネジメントとは、「リスクの持つ悪影響を極小のコストで、極小化すること」と定義するこ とができます。
リスクマネジメントの本質の他の記事
おすすめ記事
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/08
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方