2019/02/22
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
先進国での基準厳守
また、先進国でも災害時の国際基準は守られ考慮されている事例として、まずは前回も紹介したアメリカの事例です。
アメリカ小児科学会ではこんなマニュアルが作られています。ここにある「もらい乳」については、現在日本では一般的ではないので、議論があるところですよね。アメリカでは感染症対策がとられていたり、日本でも妊娠した際、母子感染の怖れのある感染症については、一通り検査し母子手帳に記載されますが、ここでは、この論点には深入りしません。とりあえず、理解していただきたいのは、先進国のアメリカであっても、国際基準にそって災害時は母乳育児支援を基本にすえ、母乳の人にミルクを無制限に配っていないということです。
ちなみにこれは「医師のための母乳育児ハンドブック 第2版 米国小児科学会/米国産婦人科学会」の表紙です。この中の「災害時の母乳育児支援」の項では、
ストレスによって母乳が出なくなることはなく、栄養不良の女性であっても母乳育児をうまく行うことができると母親に伝えて安心させる必要がある
と書かれています。
こちらは災害時の乳幼児栄養についてのニュージーランドの政府の方針声明です。
ここでも、
母乳育児中の人には継続して母乳育児が続けられるよう支援し、母乳育児中の母親にミルクを配布しないことが明記されています。
さらに、こちらはEUの事例です。
乳幼児栄養のガイダンス21ページにはWHOコードを守ることが書かれていて、ヘルスケアシステムにおけるミルクのプロモーションの禁止や母親にサンプルを配ってはいけないことが書かれています。
というように、国際基準は発展途上国だけの話としてしまう主張は、少々説得力に欠けるかなと思ったりします。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方