根元を縛る? 
出血に対して根元(心臓に近い側)を縛って止血するという方法がありますが、これはやってはいけません。止血法としては効率が悪く、余計に出血が増えることがあります。また、神経を傷つけるなどの合併症もあり、行うのであれば専門的知識が必要です。縛ってはいけません。

洗浄
水道水でキズを流して汚れを十分に取り、キズの中に異物(砂や泥など)がないことを確認します。日本の上水道技術は世界トップレベル、水質は折り紙付き、キズを洗浄しても全く問題ありません。ジャブジャブ洗いましょう。

消毒はするの? 
キズの消毒は絶対にしてはいけません。「キズの中に入れてもいいのは自分の目に入れられるものだけ」です。消毒液を目に入れたら目が焼けてしまいますね?消毒液でキズの中が焼けてしまったり、傷口から出て来るキズを早く治すための成分(後述)の働きを低下させたりします。そのためキズの治りが悪くなります。いかなる種類の消毒液であっても絶対に消毒は禁止です。キズは洗浄するのであって消毒はしません。

ドレッシング(被覆:キズを覆うこと) 
過去にケガをした時「傷口がグチョグチョして治りが悪い…」と言われたことはありませんか?それでいいんです。キズは決して乾かしてはいけません。常に湿った状態にします。キズからジュクジュクとした汁が出てきますが、これを浸出液(しんしゅつえき)と言います。キズを早く治すために自然にキズから出てくる液体です。この浸出液にはキズを早く治すための成分がたくさん含まれています。この浸出液をキズのまわりに留まらせる事がキズの治りを早くします。 

キズを覆うことをドレッシングといいますが、ドレッシングに使えるものの一例として準備しやすいものには、ラップ(台所用品)があります。覆う範囲はキズより一回り大きいくらいが丁度良いでしょう。できるだけ出血が止まってから実施してください。健康な皮膚を覆うとかぶれることがありますから必要最低限の面積を覆います。

またラップを貼るのが難しいような部位のキズには軟膏(ワセリンが良い)を塗り、乾かさないようにするという方法もあります。ワセリンを塗っただけだとベタベタしますから、その上から更にラップを被せるとワセリンが糊の役目をしてくれます。この方法はヤケドや広い範囲のすりキズなどに有効です。ちなみにワセリンはキズに入れても安全です。ボクシングや格闘技の試合では顔面に塗りますし、もちろん目に入っても大丈夫です。 

血液や浸出液がラップの間から滲むようなら、ラップの上からガーゼや布をあてます(上からですよ)。キズを乾かしてしまうようなもの、浸出液を吸い取ってしまうようなもの、繊維や糸くずがキズにつくようなもの(ガーゼ、ティッシュペーパー、脱脂綿など)は直接キズにつけてはいけません。キズの治りが悪くなり、バイキンが入りやすくなります。ガーゼを当てていいのは、ケガをして直後の直接圧迫止血法の時だけです。その後はきれいに洗浄してドレッシングを行います。

その後の家庭でのキズの処置について
入浴やシャワーも可能です。キズの周りの皮膚の脂やアカ、血液や浸出液がこびりついているのをきれいに洗い流します。シャンプー、石鹸、ボディソープをつけても構いません。ゴシゴシやると痛いし、再び出血したりするのでよく泡立てて優しく洗いましょう(もちろん、水だけでも十分です)。