災害時に無理に通帳やカードを取りに行くのは危険です

津波、洪水、土砂災害、火災等の差し迫った危険から身を守るためには、率先して、直ちに避難行動をとることが不可欠です。その場合に、必ずしも日常生活で使っている貴重品類が手元にあるとは限りません。だからといって、それらを探したり集めたりしているうちに避難行動が遅れたり、ましてや一度避難行動をとったにも関わらず引き返すようなことは絶対にしてはいけません。

通帳やカードなどの貴重品を紛失することは不安です。災害後に避難所で生活をするにも、物品の買い出しなどでお金が必要になる場面は当然あります。しかし、金融機関などは被災者が通帳やカードを紛失した場合でも引き出しができるように支援や対策を行います。命を守ることだけを最優先に行動するようにしてください。

大規模な災害があると、国(財務省や金融庁など)、日本銀行、金融機関の全国組織(全国銀行協会など)、それぞれの金融機関等から、通帳やカードを紛失した場合の取扱いが発表されます。例えば2011年の東日本大震災では、通帳等の紛失に関しては(1)通帳や届出印鑑を紛失した場合でも、本人であるころが確認できる書類の提示によって預金の払い戻しができること(2)本人を確認できる書類がない場合は、氏名や住所などの登録されている情報と一致すれば、預金を引き出せるような柔軟な対応を行うこと-が発表され、現実に被災者への支援が行われています。

これらの対応は、基本的に金融機関によって差があるものではなく、これまでの大きな災害では、国などが積極的に方針を示し、すべての金融機関に通知し、その内容を公表してきました。被害が特に広範で深刻な地域では、金融機関の職員が現金をもって避難所を巡回し、避難所で預貯金の引き出し対応を行った例もあります。

繰り返しますが、通帳やカードがないと不便だと思っても、決して避難行動を遅らせたり、引き返すようなことはしないでください。災害時にはそのような事態に陥ることも想定して、さまざまな支援が行われるものと考えて下さい。

(了)